低反発マットレスは腰痛悪化するといわれる理由
低反発マットレスは、腰痛を悪化させるという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
実際に、あまりいいとはいえない理由があるのです。
特に、慢性、急性問わず、椎間板ヘルニア・慢性腰痛・ぎっくり腰など、腰に痛みがある人は低反発マットレスはおすすめできません。
また、こういったら明らかな症状を感じていない場合でも、
・運動不足の人
・座りっぱなしの仕事をしている人
・姿勢がよくない人
・腰を使い過ぎている人(過激な運動)
といった、筋肉の衰えや腰椎の負担から、腰痛予備軍に該当する人はたくさんいます。
独特な感触で人気もある低反発シリーズですが、なぜ腰痛が悪化するといわれるのか、理由を考えてみましょう。
①腰が沈みやすく不自然な寝姿勢になる
低反発マットレスは沈み込みが強く、背骨(胸椎や腰痛)の自然なS字カーブを崩しやすくなってしまいます。
特に、頭は枕で少し高い位置にありますから、背中や腰辺りの沈み込みも強くなり、不自然な背骨の形になる上に、腰に負担が集中しがちになってしまうのです。
本来は、
・頸椎は前にゆるやかにカーブ(前弯)
・胸椎は後ろにゆるやかにカーブ(後弯)
・腰椎は前にゆるやかにカーブ(前弯)
というS字が理想の姿。
この姿勢が、全身に負担のかかりにくい姿勢です。
しかし、腰が沈み込み過ぎる状態になると、反り腰になってしまいます。
これでは体圧が腰に集まって負担がふえる一方です。
また、背中(胸椎)も引っ張られて前屈みになるような寝姿勢になり、ゆるやかな後弯を通り越して、猫背状態に…。
沈み込みが強く、柔らかさのあるフィット感は低反発だからこその特徴でもありますが、言い換えれば、変な姿勢になっていてもフィットしてしまうということです。
姿勢が悪い人や痛みがあるような人には、おすすめできません。
②寝返りが打ちづらい
沈み込みが強く柔らかい低反発マットレスは、反発力に乏しいため、寝返りが打ちづらくなってしまいます。
自然に寝返りしづらくなるため、睡眠中にもかかわらず、筋力を使って寝返りをしなくてはなりません。
あるいは、筋力が足りなければ、マットレスに体が埋まって身動きが取りづらい状態になります。
本来、低反発マットレスは体圧分散ができるといわれていますが、こういった状態になってしまうことこそが、腰痛によくないといわれる理由です。
そもそも、人間はほぼ無意識に、睡眠中におよそ20回前後の寝返りをするといわれています。
寝返りには、
・体圧を分散して体の負担をほぐす(こりや痛みの予防)
・睡眠中の血液の滞りを防ぐ
・体温調整
などの意味があり、安眠や健康には欠かせない動作なのです。
特に、高齢化が進む昨今、介護や医療の現場では、自力で体の向きを変えられない人の体位変換をおこない、人為的に臥位(がい・寝ている状態)を定期的に変えることで、同じ部分にばかり体圧がかかってしまわないようにする作業もあります。
それほど大切な動作でもある寝返りがしづらいということは、体の不調を抱える人にとっては大きなデメリットです。
マットレスに適度な硬さがあることで、自然と寝返りもできるのですが、沈み込みが強いマットレスを使っていると、寝返りに筋力が必要になってしまいます。
さらに肥満傾向にある人で、横向きに寝るのが多い人は、圧が強くなり、寝返りにも筋力が必要になってしまうのです。
また、
・背筋や腹筋などの筋肉の衰えが出始める中年以降の人、高齢者
・股関節が弱くなっている人
・介護が必要な人
などには、沈み込みの強い低反発マットレスはおすすめできません。
体力を養い、疲れを癒すための睡眠で、体圧が局所に集中する上に、寝返りのために筋力を使ってしまうと、睡眠不調の原因にもなりえます。
低反発マットレスとは?メリット・デメリット
トゥルースリーパーを筆頭に人気の低反発マットレスですが、低反発ってどんな素材のことをいうのかご存知でしょうか?
そもそも低反発とは、反発力の低いウレタンフォーム素材のこと。
・柔らかい素材なのでゆっくり沈み込む
・反発力(押し戻す力、ニュートン)が少ない
・包み込むようなフィット感がある
この「ニュートン(Nと表記されます)」の数値が小さいものを低反発と呼ぶのですが、厳密に「Nの数値がいくつになると低反発」という規定はありません。
目安としては75N前後で、低反発を謳うメーカーが多いのですが、同じ「低反発」と表記された商品であっても、硬さが異なるものがあるので注意しましょう。
(実際、消費者庁のウレタンフォームマットレスのページでは、N数の違いによって「かため」「ふつう」「やわらかめ」の3種類に分かれますが、低反発や高反発といった用語は出てきません)
そんな低反発マットレスには、メリットもあればデメリットもあります。
・どんな形にもフィットする
・体圧を分散できる
・しっとりした感触がある
・柔らかい
・保温性に優れている
・熱がこもりやすい
・湿気がこもりやすい
・洗えない
・へたりやすい
・反発力がないので寝返りがしにくい
・理想の寝姿がキープできない
これらの点を考えると、包み込まれるような柔らかさが好きな人にはいいのですが、衛生面を気にする人には合わないといえます。
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高反発マットレスは腰痛悪化しないのか
「低反発マットレスが腰痛によくないのであれば、高反発ならいいってこと?」という意見もあることでしょう。
結論からお伝えしますと、硬すぎる高反発マットレスも腰痛を悪化させる原因です。
そもそも、高反発マットレスは低反発よりも硬さがある(Nの数値が高い)ウレタン素材のことですが、体重が軽い人が使用すると、あまり沈み込まず体にフィットせず、体とマットレスの間に隙間ができてしまい、体圧が分散できなくなってしまいます。
体重があるからといって、マットレスが硬すぎてあまり沈んでいないのであれば、同じことがいえるわけです。
体に負担をかけないで安眠したいのであれば、マットレスには適度な硬さとフィットする沈み込みも必要ですから、
・硬すぎる高反発マットレスを使用する
・中綿の弾力性がなくなった煎餅布団を使用する
・疲れたからと地べたで寝落ちしてしまう
などは、あまりいいことではありません。
マットレスを選ぶ際には、硬ければいいわけでもなく、柔らかくて沈み込み過ぎるのもよくないということには注意しておくようにしましょう。
高反発マットレスのメリット・デメリット
高反発マットレスにも、もちろんメリットもデメリットもあります。
わかりやすいように、表で比較してみましょう。
・寝返りがしやすい
・ムレにくい
・適度な柔らかさがある
・正しい姿勢で寝られる
・通気性のよさゆえに保温性に乏しい
・値段が高いものが多い
・体重が軽い人は硬く感じる
・横向き寝の人には肩が痛くなる
保温性に乏しいという点は、シーツを敷くことでカバーできることもありますし、暑がりな人にとってはメリットにもなりうることですね。
また、値段に関しては、寝具にお金をかける気がない人や、そこまで睡眠の質にこだわりがない人にとってはデメリットになってしまいます。
程よい反発力があることで寝返りがしやすく、理想的な寝姿を保てるため、ピンポイントに体圧が集中してしまうこともないのはメリットなのですが、これはあくまで仰向けで寝る人の話。
横向き寝が多い人にとっては、肩や腰が思うように沈み込まず、大変寝づらく感じたり、肩に痛みを感じたりしてしまう可能性もあります。
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腰痛対策には低反発と高反発どっちがおすすめ?
結論を先にお伝えしますと、体重が軽い人、体型が細い人には低反発マットレスのほうが合う傾向がある反面、体重が重い人、体格が太い人には高反発マットレスのほうが合う傾向があります。
低反発にも高反発にも、メリットもデメリットもありますし、どっちのほうがいいというのは、一概にきっぱり断言できるものではありません。
なぜなら、これまでに解説してきたように、どちらのマットレスがおすすめできるのかは、体重と体型で決めたほうがいいからです。
たとえば、スポーツをしていて筋肉がしっかりついている人と、あまり太りにくい体質の人を比較すると、まったくマットレスの沈み方が違うのはイメージできるのではないでしょうか。
ほかにも、男性と女性でも体型は異なります。
また、さきほど少し触れたように、同じような骨格・体型の人であったとしても、仰向けで寝る派か横向きで寝る派かというだけでも、低反発マットレスがいいのかどうかの答えは違ってくるのです。
・体重(体格、骨格)
・腰痛の原因
・姿勢(寝姿勢を含む)
がマットレスには影響します。
ですので、柔らか過ぎず硬すぎない、寝返りがしやすい程度の反発力のあるものがベストなのです。
低反発マットレスが合う人
これまでの解説をもとに、今一度、低反発マットレスが合う人の情報をまとめて確認してみましょう。
特徴 | 合う理由 |
体重が軽い人 |
沈み込みが強くなり過ぎないので寝返りに困らない
|
細身の人 |
沈み込みが強くなり過ぎないので、寝姿も崩れにくい
|
寝返り回数が少ない人 |
寝返りの回数があまりなければ、デメリットにはならない
|
横向きで寝るの人 |
沈み込みが強くなり過ぎないので、肩がマットレスに埋まる心配はない
|
などがあります。
横向き寝の人の場合、体重が重い人だと沈み込み過ぎて寝返りに筋力を使うということをお伝えしましたが、細身の人であれば、負担とまでは感じない程度の沈み込みにしかならないので問題ありません。
合う人としてご紹介はしていますが、合う理由として挙げていることに該当せず、腰にいた身を感じているようであれば、低反発マットレスの使用は避けるようにしてくださいね。
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高反発マットレスが合う人
高反発マットレスが合う人についても、今一度、まとめてみましょう。
特徴 | 合う理由 |
体重が重い人 |
沈み込み過ぎないため、底付き感もなく寝返りがしやすい
|
太め体型の人 |
沈み込み過ぎないため、負担がピンポイントに集中しにくい
|
寝返り回数が多い人 |
適度な反発力があるため、スムーズな寝返りをサポートできる
|
汗かきな人 |
低反発より通気性に優れているので安心
|
仰向けで寝る人 |
横向き寝では肩が沈み込まず痛い高反発も、仰向けで寝る人にはデメリットにならない
|
などがあります。
その他、
・衛生的に通気性やムレが気になるのであれば、高反発
・包み込まれるようなフィット感が好きな人であれば、低反発
・コストが気になる人であれば、低反発
・寝姿勢を正しくキープしておきたい人は、高反発
など、諸条件はあるのですが、腰痛など体に不具合があり、寝具でそれらを悪化させている可能性がある人は、好みで選ぶのではなく、体格・体重から寝具を選ぶようにするとよいでしょう。