この記事は、
「夫がいつもリビングの床で寝ちゃって健康被害が心配・・」
「朝なかなか起きられないから床で寝たらすぐに起きられるかな?」
という方に向けて書いています。
結論からいうと、床で寝るのはメリットは小さくデメリットは大きいので、おすすめしません。
ただし、100人いたら100人全員に当てはまるわけではなく、毎日床で快適に寝られて健康な人もいます。
一応は人それぞれでありながらも、多くの人には床で寝るのはおすすめしづらいため、せめて薄い直置き用マットレスを敷いて寝ることをおすすめします。
固い床で寝るメリット(といわれているもの)
床で寝るメリット、あるいはメリットといわれているものは、いくつか存在します。
・猫背の改善・解消
・ノミやダニが繁殖する心配がない
・部屋が広く使える
・朝スッキリ起きられる
しかしこれらのメリットは本当なのでしょうか。順を追って検証していきます。
床で寝ると猫背が改善される?
デスクワークが多い現代では猫背は珍しくありません。
床で寝ると猫背が改善したり、解消するという話があります。たしかに床の上に仰向けで寝ると、背骨をスッと伸ばす効果はあります。そのため床の上で寝るメリットとして挙げられたのでしょう。
猫背が改善されれば、猫背に起因する肩こりなどから、開放されることになります。また猫背は前かがみになりますから、どうしても胃や腸に負担がかかります。
これもなくなれば健康になれそうではありますが、実際のところはどうなのでしょう
あくまで俗説、医学的に推奨されているわけではない
じつは床で寝ると猫背が改善したり、解消するという話はあくまでも俗説で、医学的な根拠があるわけではないんです。もちろん推奨もされていません。猫背が改善した「ように感じるだけ」といっていいでしょう。
猫背を改善するには長時間同じ姿勢をとらないことが大切です。デスクワークをしているのなら、ときどき立ち上がって伸びをしたり、少し歩くのが効果的です。
ただ、ストレッチの一環として、床に寝るのはおすすめです。背骨が伸びるのは確かだからです。でも1回5分から10分程度で十分でしょう。
床で寝るとノミやダニが繁殖する心配がない?
敷布団やマットレスで寝ると、ノミやダニが繁殖するのではないかと、心配する人も少なくないでしょう。敷布団やマットレスを使わずに、直接床の上で寝ればこの心配はしなくてすみそうです。
ノミやダニから見れば、適度な温度で生息できる空間が存在しないわけですから、繁殖どころではないでしょう。そもそも住めないわけですから。
そういった面からだけ見れば、床に直接寝るのも一定の説得力はありそうです。しかし寝具を使うと、必ずノミやダニが繁殖するのでしょうか。
今の寝具はノミやダニが繁殖しづらい
敷布団や掛け布団、あるいはマットレスには、ノミやダニが繁殖するというイメージをお持ちではないでしょうか。じつはダニ対策グッズなどの広告では、多分に恣意的な画像や動画が用いられてきました。
人々に恐怖心を植え付ける販促を行うわけで、さすがにテレビや新聞などからは姿を消しましたが、ネット上にはまだ残っているようです。
しかし今の寝具はダニが繁殖しづらいポリエステルやウレタン素材が主流で、一昔前の綿の布団は少なくなっています。また、昨今の抗菌意識の高まりから、抗菌・防虫処理が施されている製品も珍しくありません。
つまり現代の寝具にはノミやダニは繁殖しづらいのです。そのためノミダニ対策の観点では、無理をして直接床で寝る必要はありません。
床で寝ると部屋が広く使える?
直接床で寝れば部屋が広く使えるという声も見受けられます。ベッドを置かないのなら、たしかにそうかも知れません。しかし布団を敷いて寝るのであれば、朝になったら畳んで押入れや部屋の隅にしまうわけですから、部屋を広く使うことはできます。
それに寝るスペースというのは、毎日変わることは少ないはずです。例えば手元に電気スタンドを置くような場合は、コンセントから離れてしまうといろいろ面倒です。必然的に毎日同じスペースで寝起きすることになるでしょう。
部屋が広く使えるという声は、説得力に欠けていると言わざるを得ません。
床で寝ると朝スッキリ起きられる?
床の上に直接寝ると、朝スッキリ起きられるという声も耳にします。本当でしょうか?
実はこれには、ある理由があります。硬い床の上で寝ると、どうしても眠りが浅くなるのです。
眠りが浅いので目が覚めやすくなるというメカニズムです。しかし眠りが浅いと体の疲れをしっかり取ることはできません。そんな状態が続けば、学業や仕事に支障を来すようになるでしょう。
床の上で寝るとその寝心地の悪さから、熟睡することは叶いません。体にとっては熟睡できないほうがはるかに害悪なんです。
固い床で寝ると気持ちいい?
「固い床で寝ると気持ちいい、体の調子もいい」という人は実際にいます。
人の体は十人十色。全員同じ答えが正解なわけではありません。
中には実際に床で寝ることで健康になった人もいることでしょう。
ただし、体の一部に体重が集中すること、それによる圧迫と血流阻害を考えると、生理学的にはおすすめしづらいというのが現状です。
固い床で寝るデメリット
床で寝るメリット、あるいはメリットといわれているものは、いずれもその根拠が薄いわけですが、デメリットははっきりとしています。
・冬場は寒くて寝られない
・寝返りがしづらい
・ホコリやハウスダストを吸いやすい
などです。
いずれも体にとって良いことは1つもありません。体調不良に繋がる可能性もあります。それぞれ詳しく解説していきましょう。
体が痛くなる
床の上はクッション性がなく硬いのが一般的です。たとえカーペットが敷いてあっても、あまり変わらないでしょう。硬い床の上で寝ると血液の循環に悪影響を与えます。
血の巡りが悪くなるわけですが、これは内臓にとって良いことではありません。また筋肉の緊張が解けないので、肩や背中・腰の痛みが回復しません。回復しないどころか、さらに悪くなる危険性もあります。
体の痛みが引かないままで日々の生活を送っていると、ある日重大な体調不良を引き起こすかもしれません。
冬は寒い
冬場に暖房を入れても温度の変化が少ない場所があります。そう、床の上です。そんな床の上で寝るのは、夏場は良くても冬場は苦行以外の何ものでもないでしょう。
床暖房やホットカーペットの上なら、寝られるかもしれません。しかし電気料金が高騰する中では、月々の電気代が馬鹿にならないことになります。それにコタツと同様に低温火傷のリスクもあります。
つまり冬場に床の上で寝るのは、現実的な話ではないのです。やめておきましょう。
寝返りしづらい
一般に床の上は硬いものです。クッション性はゼロといっていいでしょう。しかしクッション性は、快眠と大きな関係があるんです。人間は睡眠中に20回以上寝返りを打つといわれています。
寝返りは体をリラックスさせる大事な効果があります。寝返りを自由にできないと、腰や首に負担がかかり熟睡できません。そして自然に寝返りを打つには、ある程度のクッション性や反発力が必要なんです。
床にはクッション性も反発力もありません。ですから寝返りがしづらいわけです。
ホコリやハウスダストを吸いやすい
部屋の中のホコリやハウスダストは、空中を漂っているイメージがありますが、じつは多くの場合床の上に積もっているものです。その床の上に直接寝てしまうと、就寝中にホコリやハウスダストを吸い込むことになります。
この状態が続くと呼吸器系にダメージを負い、最悪の場合は呼吸器疾患に繋がる可能性があります。ホコリやハウスダストは毎日掃除機をかけたとしても、その存在をなくすことはできません。
床から10センチでも離れれば、吸い込む量は激減するでしょう。ですからマットレスや敷布団は必須なんです。
固い床で寝た人の口コミ
ここでは実際に床で寝た人の口コミをご紹介します。
昨日床の上で寝たから身体痛〜い😂(定期)
— セレナ (@selenahappydays) February 2, 2023
眠くてたまらない…
睡眠の質が悪いのだろう。
リビングの床で寝たしね( ‾᷄ ⁻̫ ‾᷅)
配信なければちゃんとベッド行こ。— 蓮花*-Renka-*パニ障 (@Renkascats) February 2, 2023
床で寝落ちてて体痛いし変な時間に起きたから寝た感じしないしさいあくだ
— おーしゃん🐾 (@Umi_ocean_0609) January 24, 2023
固い床で寝るのは良い?悪い?アンケート結果
床で寝た人にアンケート調査を実施しました。
調査場所:クラウドワークス
回答期間:2023年1月6日~7日
回答数:100名
アンケート1:床で寝ると猫背が改善された?
床で寝て猫背が改善されたと感じた人の割合はわずか4%でした。
回答者には猫背でない人も含まれていますが、それにしても少ない数字です。
アンケート2:床で寝るとスッキリ起きられるようになった?
床で寝てスッキリ起きられた人の割合はわずか7%でした。
アンケート3:床で寝ると寝返りが打ちやすかった?
床で寝て寝返りがうちやすいと答えた人の割合はわずか6%でした。
アンケート4:床で寝ると寒かった?
床で寝て寒かったと感じた人の割合は92%でした。
アンケート5:体が痛くなった?
床で寝て体が痛くなったと感じた人の割合は95%でした。
ほぼ全員体が痛くなるといえます。
アンケート6:床で寝て健康になった?
床で寝て健康になったと感じた人の割合はわずか2%でした。
アンケート7:床で寝ることを人にすすめるか?
床で寝ることを人にすすめたい人の割合はわずか2%でした。
以上の結果から、床で寝るのは大部分の人にはおすすめできないといえます。
固い床で寝る健康効果を主張している公的機関・医療機関はない
床や硬い板の上で寝ることを、健康法として推奨している、民間団体はあります。しかし床で寝る健康効果を主張している、公的機関や医療機関はありません。
健康法を信じるのはかまいませんが、あくまでも民間療法の1つであることは、忘れないほうがいいでしょう。厚生労働省がネットで公開している研究結果や、奈良女子大学の論文によれば、硬すぎるマットレスでは快眠が得られないという結論が導き出されています。
床はさらに硬いわけですから、その結果は言うまでもないでしょう。
参考文献:
【腰痛改善】床で寝ると腰痛が改善するって本当? - 綱島駅4分の整体院いぎカイロプラクティック
快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
ベッドマットレスの硬さが睡眠に及ぼす影響 | CiNii Research
結論:健康のためにマットレスを敷いて寝よう
床で寝るメリットとデメリット、及び健康への効果について解説してきました。床で寝るメリットは根拠が乏しいものばかりですが、そのデメリットとなると具体的になります。
つまりメリットは小さくデメリットは大きいので、床で寝るのは推奨できません。
望ましいのはベッドフレームに、マットレスをセットすることです。マットレスに熱や湿気がこもらないので、快適な睡眠に繋がります。
ベッドを置きたくないのなら、直置きタイプのマットレスを近くに置いておくのも手です。
血流が悪くなっていいことは一つもありません。明日からでもクッション性のある寝具を導入して、病気予防につなげましょう。
なお以下の記事でフローリングに直置きできるマットレスを紹介していますので参考までに。