マットレスでヘルニアは治るのか
最初に結論からお伝えしますと、マットレスで椎間板ヘルニアを治そうとしても、治ることはありませんので、しかるべき施設でしっかり治療しなければなりません。
しかし、だからといってどんなマットレスでもいい、どんなマットレスを使っても同じということではありませんし、マットレス次第で、椎間板ヘルニアを悪化させてしまうことも大いにあります。
つまり、悪化予防の対策として、マットレスは非常に重要なアイテムということです。
間違ったマットレスを使用し続けることで、せっかく体を癒すための睡眠にもかかわらず、具合が悪くなってしまうことがあります。
ヘルニアや腰痛持ち(あるいは予備軍)の人は特に、マットレス選びには注意するようにしましょう。
椎間板ヘルニアのマットレスの選び方
椎間板ヘルニアの人が注意しておきたい、マットレスの選ぶポイントがあります。
ヘルニア(特に腰痛部分のヘルニア)の場合、横になるといくぶん楽に感じることもあるでしょう。
しかし、合わないマットレスで寝ていては、そんな束の間の楽に感じたい瞬間さえも、つらい思いをしなければなりません。
ただでさえ、背中や腰の痛み、痺れなどの耐えがたい苦痛がある中、痛みが増えるようなマットレスを使ってしまわないようにしたいものです。
ですからここで、椎間板ヘルニアの人に適した、正しいマットレスの選び方をしっかり身に着けておきましょう。
寝返りしやすい高反発
スムーズに寝返りができる、高反発素材のマットレスを選ぶようにしましょう。
低反発のマットレスは沈み込みが強く、寝返りをするときに筋力が必要になりますし、腰がくの字型になってしまい、より一層痛みを感じやすくなってしまいます。
ただでさえ腰が痛いのに、力を入れて寝返りをするような状態になってしまう上に、腰の負荷を強めてしまう可能性があるのです。
さらにその沈み込みゆえに、寝返りがうまくできずに、目覚めてしまうこともあります。
そもそも寝返りは、快適な睡眠のために、人が無意識におこなう生理現象です。
「痛いから寝返りはしない!」と、睡眠中に意識的にコントロールすることはできません。
そのため、
・体が沈み込み過ぎない
・腰や背中に負担をかけずに自然な寝返りができる
・適度な反発力のあり、寝返りのサポートができる
という条件の揃った、高反発マットレスを使用するようにするとよいでしょう。
寝姿勢が崩れない適度な硬さ
適度な硬さがあり、寝姿勢が崩れるのを防げるマットレスを使用しましょう。
理想的な寝姿勢は、仰向けの状態で、背骨(首から腰にかけて)の自然なS字カーブが保てる状態を作ることです。
その姿勢が一番体に負担のない状態ですので、腰の負担も最低限に抑えることができます。
とはいえ、硬ければいいというわけでもありません。
そこでおすすめなのが、ダブルクッションベッドです。
ダブルクッションベッドとは、マットレスとベッドフレームの双方にスプリング(バネ)が入ったもののことをいいます。
簡単にいうと、スプリングマットレスを2枚重ねて使用している状態ですね。
ダブルクッションのメリットは、
・耐久性が上がり、安定性がよくなる
・2枚のマットレスで、より体圧分散に優れる
・通気性がよくなること
などがあります。
マットレスが沈み過ぎてしまったり、スプリングの消耗から寝姿勢が崩れてしまったりすると、体にかかる負担が局所に集中してしまう原因になってしまい、ヘルニアの痛みを感じやすくなってしまうのですが、これらのメリットがあれば、負担の少ない姿勢で寝ることが可能です。
また、通気性が悪い寝具を使用していると、寝付けなかったり、体が暑くなって不快感で目覚めてしまったりする要因にもなりかねません。
そういう観点からしても、ダブルクッションの通気性のよさも快眠の手助けをしてくれますよ!
底付きしない厚み
ある程度の厚みがあるマットレスを選ぶようにしましょう。
沈み込みが強かったり、柔らかすぎたりするようなマットレスや、極端に厚みの少ないマットレスを使用していると、床に寝ている状態のようになってしまい、体圧を吸収できなくなってしまいます。
ダイレクトに体で体重を受け止める状態になるのですから、痛みを感じやすくなってしまうのは当然のこと。
これはヘルニアの人ではなくてもいえることです。
さらに、底付きがあるということは、反発力に乏しいマットレスということですから、寝返りもしづらくなり、睡眠の質も下がります。
また、厚みがあったとしても耐久性があまりなく、へたりが早い素材のマットレスも、すぐに底付きを感じてしまう原因になってしまいますので、マットレスの素材そのものにも注意して選ぶようにしましょう。
椎間板ヘルニア向けマットレスおすすめランキング
椎間板ヘルニアの人のマットレスの選び方はわかりましたが、実際にどんなマットレスがあるのでしょうか?
ここでは具体的なおすすめマットレスを、ランキング形式でご紹介していきます。
実際のマットレスを比較しながら見ていくと、使用しているときのイメージも膨らみますし、「自分はどんなのが好きかな?どれが合うかな?」と検討がつけられるようになってくることでしょう。
商品によって、特性や強みもそれぞれ異なりますので、参考にしてみてくださいね。
モットン
モットン(Motton Japan)の高反発マットレスは、寝返りがしやすく体圧分散にも優れたマットレスとして大変人気を集めています。
メーカーはこのマットレスの開発・製造に、100回以上のトライ&エラーを繰り返したそう!
本気の思いが詰まったマットレスの最大の強みは、体重・体格によってマットレスの硬さが3種類の中から選べるようになっていること。
硬さ | 反発力 | おすすめの人 |
ソフト | 140N | 45kg以下の人 |
レギュラー | 170N | 46kg~80㎏の人 |
ハード | 280N | 81㎏以上の人 |
※「N」はニュートンという意味で、ウレタンの硬さ・反発力を表し、数値が大きくなるほど硬くなります。
また、
・1万円以上の買い物で送料無料
・購入から180日はメールサポートが無料
・購入後90日間の返金保証あり
という手厚いサポートもついてきます。
「購入したものの硬さが合わない…」という場合には、1つのマットレスにつき3,960円(再送料や手数料込み)で交換可能です。(2023年2月時点)
おすすめの人はあくまで目安なので、硬さが合わないときにも気軽に交換してもらえるのもメリットといえますね!
なお、モットン(Motton Japan)の高反発マットレスのスペックは以下のとおりです。
種類 | サイズ | 厚さ |
シングル | 縦195cm × 横97cm |
10cm
|
セミダブル | 縦195cm × 横120cm | |
ダブル | 縦195cm × 横140cm |
ヘルニアや腰痛対策に必要な要素が詰まっているので、試してみる価値のあるマットレスではないでしょうか。
関連記事:モットンの口コミは悪い?高反発マットレスの辛口評価
ネルマットレス
「寝返りがしやすい、上質な睡眠のために」という思いから生まれた、ネルマットレス。
寝返りのしやすさを追求したポケットコイルを製造し、寝心地のよさが安定するポケットコイルの配置、また、それを実現する技術など、そのコンセプトを遂行するために徹底的にこだわって生まれたマットレスです。
安定性にも優れており、実際に、寝返りがしやすくなって、腰痛が緩和されたという口コミもたくさんあります。
さらに、
・沖縄県以外は送料無料
・10年保証
・120日間のトライアル期間あり
という好条件もおすすめなポイントです。
お試しができるショールームなどを持ち合わせていないこともあり、120日(約4ヶ月)ものトライアル期間を設定していることや、10年もの保証期間を設けていることは、メーカーの自信の表れといえますね!
なお、ネルマットレスのスペックは以下のとおりです。
種類 | サイズ | 厚さ |
シングル | 縦195cm × 横95cm |
21cm
|
セミダブル | 縦195cm × 横120cm | |
ダブル | 縦195cm × 横140cm | |
クイーン | 縦195cm × 横160cm | |
キング | 縦195cm × 横190cm |
厚みもしっかりしているので安定性もあり、底付きの心配はありません。
また、サイズもたくさんある上に、家族で一緒に使用したいという人にもおすすめです!
関連記事:(NELL)ネルマットレスの口コミ(良い&悪い)腰痛への評判は?
関連記事:【2023年】ネルマットレスのクーポン入手方法!割引セール時期・キャンペーンも
雲のやすらぎプレミアム
雲のやすらぎプレミアムは、整体師や整形外科医などの腰の負担に詳しい専門家、アスリートなどもよさを認めるマットレスです。
このマットレスの特徴は、体圧分散と安定性に長けた3層構造になっていること。
1層目と3層目には凹凸アルファマットが使用されており、体圧分散が可能、2層目は、スプリングが入っていることで、安定性と反発力が保たれます。
寝返りのしやすさはもちろんながら、横向きになったときにもしっかり凹凸アルファマットが体圧をサポートしてくれるため、硬すぎるという違和感も感じません。
3層構造になっていることで耐久性にも優れており、8万回もの耐久試験をしても、へたっていないことが証明されています。
また、
・送料無料
・国内生産
・100日保証あり
というメリットがあるのも魅力的ですね!
さらに、このマットレスはリバーシブル仕様になっていて、ダイヤ模様が入っている面は保温力に長ける秋冬仕様、反対面は通気性がある春夏仕様になっています。
そんな魅力たっぷりの、雲のやすらぎプレミアムのスペックは以下のとおりです。
種類 | サイズ | 厚さ |
シングル | 縦200cm × 横100cm | 17cm |
セミダブル | 縦200cm × 横120cm | |
ダブル | 縦200cm × 横140cm |
防虫・抗菌対策もされているため、アレルギーの人でも心配することなく使用できます。
関連記事:【雲のやすらぎプレミアムの悪評】腰痛悪化?口コミの評判と真相
エムリリー優反発マットレス
デンマークの寝具メーカー、エムリリー(MLILY)。
あまり馴染みのない人も多いでしょうが、なんと、有名なサッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドとも契約をしており、選手の快適な睡眠のサポートをしているメーカーです。
そんな世界的寝具メーカーが独自開発をした「優反発マットレス」は、低反発マットレスのデメリットでもある強すぎる沈み込みや、高反発マットレスのデメリットでもある硬さゆえの圧迫感を、共にクリアした新素材。
接する部分の重さに応じて、反発力が変わる優れモノです。
2層構造になっており、1層目は優反発、2層目に高反発を採用しています。
1層目の優反発部分で体圧を分散し、2層目の高反発が安定さも保ち、寝姿勢が崩れないような設計になっているのです。
高反発部分はオープンセルフォームになっているので、通気性もあります。
熱のこもりや湿気も防げるので、衛生面でも文句なし!
なお、エムリリー優反発マットレスのスペックは以下のとおりです。
種類 | サイズ | 厚さ |
セミシングル | 縦195cm × 横80cm |
・5cm
・8cm ・11cm |
シングル | 縦195cm × 横97cm | |
セミダブル | 縦195cm × 横120cm | |
ダブル | 縦195cm × 横140cm |
※8cmの厚みのもののみ、三つ折りタイプになっています。
すべてのサイズで3種類の厚さのマットレスが選べるようになっているのですが、これにもしっかりと意味があります。
5cm |
現在使用している寝具の上に敷いて、重ねて使用する
|
8cm |
フローリング(畳み)に直接敷いて使用する
|
11cm |
ベッドフレームにそのままのせて使用する
|
こういった用途分けで厚みを選べるのも嬉しいポイントです。
8cmタイプのみ三つ折りにできるのは、敷き布団として使用する意味合いがあるからで、収納のしやすさも考えてくれているのがわかりますね。
購入を考えるなら エムリリー公式サイト 一択です。公式限定特典で、通常は3年の保証期間がさらに180日延長されるからです。
関連記事:エムリリー優反発マットレスの口コミ!悪い評判はある?
ニトリ Nスリープハード
機能性寝具も多数販売しているニトリにも、椎間板ヘルニアにおすすめなマットレスがあります。
Nスリープハードという、2層コイル(ダブルクッションタイプ)のシリーズです。
コイルを覆う素材に、3次元スプリング構造の「カルファイバー」を使用したものと、ふんわりしたフィット感のある「ラテックス」を使用したものがあります。
ちなみに、カルファイバーは通気性と反発力を兼ね揃えた新素材で、医療や介護の現場でも活用されているクッション材です。
Nスリープハードのメリットは、
・ダブルクッションで適度な弾力があり体圧分散に長けていること
・2枚のシートのローテーション(上下の入れ替え)で耐久性や衛生面も保てる
・柔らかすぎず硬すぎずで自然なS字姿勢が保てる
などが挙げられます。
そして、Nスリープハードには、なんと、30年保証がついているのです!
「30と3の入力ミス?」って思う人もいるかもしれませんが、3年ではありません。
お値段以上と謳っているだけあって、そこまでの自信と信頼を保証している証ともいえますね。
なお、ニトリ Nスリープハードのスペックは以下のとおりです。
種類 | サイズ | 厚さ |
シングル | 縦197cm × 横97cm |
27cm、29cm
|
セミダブル | 縦197cm × 横120cm | |
ダブル | 縦197cm × 横140cm | |
クイーン(上段2枚組み) |
縦197cm × 横170cm
|
|
クイーン(上段1枚タイプ) |
カルファイバーの高さは29cm、ラテックスの高さは27cmに統一されています。
https://www.nitori-net.jp/ec/product/2025470s/
https://www.nitori-net.jp/ec/product/2025460s/
関連記事:Nスリープの口コミ!ハード・プレミアム・ラグジュアリー
横向きで寝るときは抱き枕が有効
これまでは主に仰向けで寝る人について解説してきましたが、横向きで寝る人も少なくありません。
横向きで寝るときには、抱き枕を使用してみましょう。
抱き枕を使用して横向きになって寝ることで、
・寝姿勢を安定させることができる
・腰や背中の体圧を軽減することができる
・腰の力を抜いて寝ることができる
などのメリットが得られます。
抱き枕を使った横向き寝は、妊婦さんの腰痛対策としても推奨されることもあるほどで、いうまでもなく、ヘルニアの腰の痛み対策としても有効なんですよ。
ポイントは、痛みを感じにくいほうを下にして、横向きになって使用することですが、どちらも痛いという場合は、できれば左側を下にして寝るようにしてください。
左側を下にして寝る意味としては、右側にある静脈が圧迫されないようにするためです。
静脈が圧迫されてしまうと、血行が悪くなり安眠の妨げになってしまいます。
もちろん、左側が痛いという場合には、無理に左側を下にする必要はないので、痛みの少ないほうを優先しましょう。
ちなみに補足ですが、たまに、痛いからという理由で、うつ伏せで寝てしまう人もいますが、うつ伏せ寝は腰痛やヘルニアの人はもとより、人の睡眠姿勢としてもっともおすすめできるものではありません。
前から圧迫されることにより、頸椎から腰痛まで反り返った姿勢になってしまうため、首の痛みや腰痛を悪化させてしまうだけですので、注意してくださいね。
椎間板ヘルニアになる原因
椎間板ヘルニアになる原因について解説します。
椎間板は髄核と線維輪で構成されており、本来は線維輪に髄核が覆われている状態になっているのですが、さまざまな要因から髄核が線維輪から飛び出てしまうことがあります。
その飛び出した髄核が、神経を圧迫してしまうことが原因で痛みを生じさせる=椎間板ヘルニアになるというメカニズムです。
似たような痛みの症状として、
・坐骨神経痛(臀部や足のしびれや痛み)
・疼痛性側弯(ぎっくり腰)
・腰椎椎間板ヘルニア
などがありますが、第4頸椎と第5頸椎の症状がひどい場合に、腰椎椎間板ヘルニアがもっとも起こりやすいとされています。
しかし、椎間板は一度症状が出たら治らないというわけではなく、正しい治療をすれば自然に回復できる機能を持つ組織です。
そのため、手術で除去するのではなく、症状を緩和させて治していく「保存的治療」で対処することも有効とされています。
・クッションを使用して痛みのない姿勢を心がける
・鎮痛薬で痛みを緩和させる
・コルセットでの姿勢矯正
・リハビリや腰痛予防体操などをおこなう
などで回復させていくことも可能です。
さらっと、「椎間板ヘルニアにはさまざまな要因がある」とお伝えしましたが、具体的には、
・老化
・体型
・無理な姿勢
・遺伝的な問題
・強い力が加わったダメージ
などがあります。
それぞれ詳しく確認してみましょう。
内的要因(年齢・肥満)
ヘルニアの内的要因としては、年齢や体型などがあります。
実際にヘルニアの人の割合を調べてみると、中年層の人(40代前後から50代)や肥満体型の人に多い傾向があることが確認されました。
体重が重くなるほどに、背骨(頸椎)にかかる負担が多くなるのは、おそらくみなさんも容易に想像できることではないでしょうか。
また、中年層になると、長年にわたる生活習慣の負担や疲労が体に出る年代でもあります。
・無理な姿勢が続く仕事での心身疲労の蓄積
・激務よる時間的に余裕がない生活
など、忙しいから運動もできない・余裕がないという生活をしがちな中年層の人は、椎間板ヘルニアになるリスクも高くなるとされているのです。
外的要因(スポーツ、重いものを持つなど)
ヘルニアの内的要因としては、以下の内容が挙げられます。
追突事故 |
突然の強い衝撃で腰に大きな負担がかかった
|
長時間座ったままでいる |
突然立ち上がったときに腰を痛めてしまう
|
スポーツ(アメリカンフットボール) |
選手との強いぶつかり合いで腰に衝撃を受ける
|
重いものを持ち上げるとき |
立ったまま力任せに持ち上げようとして腰を痛める
|
この内容には主に、突然の大きな衝撃から起こる内容が多く、ふいに受けた衝撃を腰で受け止めてしまっていることが原因です。
重いものを持ち上げるときは、しっかり前かがみ・中腰になって、腹筋も背筋もバランスよく使って持ち上げるようにしないと、腰を痛めてしまいます。
また、妊娠・出産に関しても。
・妊娠中の腰痛から悪化
・出産時のいきみによる腰への負担
・出産後の骨盤のズレ
・育児中の長時間の抱っこ
などから、椎間板ヘルニアを引き起こしてしまうことも…。
ちなみに研究の結果として、アメフト以外のスポーツでは椎間板ヘルニアの因果関係は確認されていません。
ただし通説では、「野球やゴルフなどの体をひねるスポーツは椎間板ヘルニアになりやすいのでは?」という意見もあります。
しかし、確かなエビデンスがないため、これらのスポーツとの関係性は断定できませんでした。
環境的要因(職業・喫煙)
椎間板ヘルニアの環境的要因には職業の特徴や喫煙があります。
たとえば、職業でいうと、
・長時間座ったままの、身動きもあまり取れないような状態が続くような仕事
・トラックドライバーで常に全身振動を感じる状態にある仕事
などの場合、常に腰に負担がかかるような環境にいることがわかります。
体を動かせずに縮こまった姿勢で長時間いたら、椎間板も圧迫されっぱなしですし、振動を受け止める回数が多ければ、椎間板も弱るのも当然です。
また、喫煙している人も、椎間板ヘルニアになるリスクが高いことも確認されています。
喫煙量が増えるほど、リスクが高まるという有力なエビデンスもあり、整形外科の医師なども喫煙は腰痛の危険因子であるとして、ヘルニア・腰痛などの患者に喫煙を勧めることもあるほどです。
遺伝的要因
遺伝的な要因から、ヘルニアになることもあります。
正確には遺伝的要因は2つあり、ひとつは本人の生活や習慣に関係ない、遺伝的な(先天的な)体質や骨の形によって椎間板ヘルニアになってしまうケースです。
もうひとつは、ヘルニアになる傾向がある遺伝子を持っているケース。
家族に椎間板ヘルニアの人がいると、他の家族も椎間板ヘルニアになっていることが多いという事実も、人種問わず報告されています。
遺伝子単体では椎間板ヘルニアを発症することはないのですが、未発症であっても、椎間板ヘルニアになっている家族と同じような生活習慣を送る、つまり、環境的要因が加わることにより、椎間板ヘルニアになってしまうことがあるのです。
椎間板ヘルニアを放置した場合
椎間板ヘルニアを放置していると、
・痛みによる歩行困難
・失禁
・神経麻痺による障害
などの、生活に支障をきたすほどのトラブルに進行してしまうことがあります。
症状が軽い場合には、さきほど少し触れたように、椎間板そのものの回復能力を活かした保存療法で治療することも可能です。
具体的には、
・痛み止めとしてブロック注射を打つ
・飲み薬で痛みの緩和をはかる
・リハビリや軽い体操をして筋肉を強化する
・牽引をして痛みを軽減させる
などの対処法で改善・回復させていく方法があります。
しかし問題は、放置した結果、これらの対処法では改善できなくなってしまった場合です。
症状がひどくなってしまった場合には、
・椎間板切除
・椎間固定
など、痛みを引き起こしている髄核を取り除く手術が必要になってしまいます。
マットレス以外の椎間板ヘルニア対策
マットレスで椎間板ヘルニアの悪化を防ぐ対策以外にも、自分でできる対策もいくつかあります。
これまでご紹介してきた要因を考えてみると、遺伝子的な要因でない限り、手術などに至る前に自主対策できることもあるとお気づきの人も多いかもしれませんね。
ここでは、椎間板ヘルニアの原因となる因子をヒントに、
・椎間板ヘルニア予防
・椎間板ヘルニア対策
・腰痛の悪化の予報
として、自分でできる対策をご紹介していきます。
椎間板ヘルニアにお悩みのかたも、予備軍の腰痛持ちのかたも、ぜひ参考にしてください。
禁煙する
喫煙が腰痛の敵として認識されている国もあるほどです。
禁煙をして、痛みが軽減できることもあります。
喫煙には依存症のリスクもあるため、これまでの生活習慣として喫煙が当たり前になっている人の場合、完全禁煙をするのは簡単なことではないかもしれません。
しかし、喫煙は腰痛以外にもさまざまな健康被害を引き起こす可能性があります。
副流煙で周りの人への健康被害を招く可能性もありますし、健康のためという意味でも、禁煙する価値はありますので、やってみて損はないのではないでしょうか?
タバコも増税続きですし、お財布にも優しい対策になりますよ。
肥満の場合はダイエットする
肥満は椎間板ヘルニアのみならず、さまざまな重篤な病気や慢性的な不調も引き起こす可能性があります。
もちろん痩せ過ぎもよくないのですが、少なからず椎間板ヘルニアと肥満には因果関係があるとわかった以上、健康的な体型になれるよう、ダイエットに取り組むのもよい対策です。
体が軽くなるというだけで、起きている時間の動きも身軽になりますし、睡眠時でも体圧も軽くなりますので体の負担が軽減できます。
・日中動きやすい
・肥満による不調の予防ができる
・睡眠中の疲労も軽減できる
となれば、一石二鳥を通り越して、一石三鳥じゃないですか!
腰に負担のかかる姿勢や運動を避ける
体をひねる運動や腰に負担がかかる姿勢は、なるべく避けるようにしてください。
特に腰に負担がかかる姿勢は、座っているとき。
腹筋がゆるんで、腰に負荷がかかりやすくなってしまうためです。
座るときは、骨盤を倒して座らないよう、腹筋に力を入れるように意識してみましょう。
重いものを持つときは、力任せに持ち上げようとするのではなく、しっかり屈んで腰に負担がかからないよう体幹を使って持ち上げるようにするだけでも、腰への負担は激減します。
また、腰に負担がかかるような運動も避けるようにしましょう。
アメフト以外のスポーツは、椎間板ヘルニアとの因果関係は証明されていないとはお伝えしたものの、
・水泳
・野球
・体操
なども腰を酷使する体勢になることが多いため、椎間板ヘルニアの人、または可能性がある人はあまりおすすめできません。
長時間同じ姿勢をとらない
・座り仕事で座りっぱなしになってしまう
・業務的に不自然な体勢になる時間がたくさんある
・多忙で長時間身動き取れないことがある
なんて人もたくさんいるのではないでしょうか?
これは仕事をしているかたに限らず、主婦のかたでも長時間の立ち仕事、お子さんがいるかたの場合も子どもの目線に合わせた姿勢を長時間取るケースもあります。
そういった場合には、ほんの30秒でも構いませんので、ストレッチをする、少し歩くなどをして体の負担をほぐすようにしてください。
1時間に1回でもいいので、軽いストレッチをおこなうのが理想的ですので、痛みを感じる前に、少しでも負担を緩和するように心がけてみましょう。
腰痛体操など軽い運動をする
腰に痛みを感じない程度の体操や軽い運動を取り入れましょう。
中年層になると、筋肉量も身体活動レベル(基礎代謝)も落ちて、太りやすくなる・食べる量を減らしても痩せないという悪循環が起きてしまいます。
運動不足になりやすい世代でもあり、かつ、代謝も落ちる世代なので、肥満になりやすいというわけです。
肥満体型になると全血粘度(血液の粘度)が高くなり、脂質がスムーズに代謝できない疾患、「脂質異常症」になりやすい傾向も確認されました。
血液がドロドロになっている状態になってしまい、血液循環がうまくできなくなることから、コレステロール値や中性脂肪の数値が適性範囲を超えていると診断される疾患です。
研究でも肥満から脂質異常性傾向にある人のほうが、ヘルニアになるリスクも高いとわかっています。
そうならないためにも、基礎代謝を上げることにフォーカスしてください。
基礎代謝を上げると、
・細胞が若返る
・冷えやむくみの予防
・自律神経の不調の緩和
などの効果もあります。
ヘルニア対策のみならず、健康的な体づくりという意味でも、気軽に取り組んでさまざまな不調を改善していきましょう!
参考文献: