いびき対策枕の選び方
この記事は、
・自分のいびきで起きてしまった
・いびきのせいで喉が渇きやすい
など、いびきでお悩みの方に向けて書いています。
いびきにはいくつかの原因がありますが、枕選びや寝方でいくぶん改善できることがあります。
しかし、逆にいえば、枕が合っていないことや、寝姿がよくないことが原因でいびきをかいてしまっている可能性も…。
いびきに悩んでいる人が枕を選ぶ際には、
・仰向けに寝る場合は低めの枕
・フィット感があり、首をサポートする形状の枕
などを選ぶようにしましょう。
というのも、いびきは気道が狭くなることが原因でおこります。
つまり、気道を狭くしないための工夫が必要ということなのです。
具体的に、なぜ上記のような枕がいびき防止にいいのか、詳しく解説します。
①横向き寝しやすい枕を選ぶ
横向きになって寝るといびきをかきにくくなるため、横向きで寝やすい枕を選ぶようにしましょう。
仰向けで寝ると、無意識に喉の筋肉がゆるんで舌が気道を狭くしたり、呼吸がしづらくなったりしてしまいます。
それが原因でいびきが起きやすくなってしまうため、そうならないような寝方をするのがいびき予防のポイントです。
横に向いて寝れば、気道が狭くなるのを防げます。
しかし、仰向けに寝たときに合う高さと、横向きに寝たときに合う高さは異なりますので、首や肩の高さにフィットする、横向き寝しやすいものを選ぶようにしましょう。
横向きに寝たときの理想的な寝姿は、頭から背骨までが横向きになっても水平になることです。
また、寝返りがじょうずにできない枕を使用しているせいで、いびきをかいてしまうこともあります。
つまり、寝返りのしやすさという意味でも、横向き寝がしやすい枕はおすすめなのです。
耳が痛くならない構造だとベター
枕の真ん中に、くぼみがあったりポケット(穴があいている)があったりするような枕を使うと、耳が痛くなりにくいためおすすめです。
人によって前後はあるでしょうが、一般的には6〜7時間ほど寝るわけですから、どちらか一方にばかり向いて寝ていると、下になっているほうの耳が圧迫されて、痛くなってしまうことがあります。
これでは、耳の痛さで目覚めてしまい、熟睡できません。
最近では、イヤホンやピアスをしたまま寝ても、耳が痛くなりにくい枕なども販売されていますので、横になったときに、耳が痛くならない工夫をされている枕を選ぶようにするとなおよしです。
電動枕なら自動で横向きにしてくれる
いびきを感知して、自動でいびきをかきにくい姿勢に変えてくれる電動枕もあります。
専用アプリで寝ているときの音や振動を感知して、高さを自動で調整してくれたり、自動で横に向くように形状が変わったりする優れもの。
枕の中にエアバッグが内蔵されており、アプリで感知した音の変化と連動して、空気が自動的に入る仕組みになっています。
これであれば、枕が勝手に睡眠中の自分の状態に合わせて変化してくれるため、「横向きになって寝ないと…」なんて意識しておく必要もありませんし、安心して眠れそうですね。
②仰向けなら低めの枕を選ぶ
「横向きでは寝れない」「仰向けで寝たい」という人もいるでしょうが、仰向けで寝る場合は、できるだけ高さが低めの枕を選ぶようにしましょう。
というのも、首の角度が急になる(顎が下がってしまう状態になる)と、のどがふさがれやすいからです。
いびきは気道が狭まることが原因で起こるため、頭の頂点が高く顎が下がって首を圧迫する寝姿になってしまうと、必然的にいびきをかきやすい寝姿勢になっていまいます。
そうならないためにも、顎の位置があまり下がらない低めの枕を選ぶようにすることが、いびき対策になるのですね。
ただし、低すぎる・枕を使用しないとなると、また別のトラブルが起こるので注意してくださいね。
③枕の硬さは好みでいいが高さを保てるものを
枕の硬さや中の詰め物の材質に関しては、好きなタイプを選んでいいのですが、柔らかすぎて底つき感があるものや、首や肩のフィット感がないものを使っていると、今度は別のトラブルの原因になってしまいます。
低すぎる枕を使用すると、
・顎が下がって呼吸がしづらくなる
・首肩の負担を分散できず、こりや痛みの原因になる
・頚椎のS字が崩れて猫背やストレートネックを悪化させる
・寝返りがうまくできない
・頭へのスムーズな血のめぐりの妨げになる
など、あらゆる不調の原因になりかねません。
さきほど、仰向けのときに高すぎる枕はよくないとはお伝えしているのですが、低すぎもよくないのです。
ある程度の高さを保てる枕で、首や肩の負担を分散でき、首のS字を圧迫しないような形状を選ぶようにしましょう。
ただし、高い枕を使って喉元だけが高くなる寝姿勢になってしまうと、今度は顎が上がりすぎて、口呼吸になってしまう危険があります。
口呼吸もいびきの原因ですから、いびき予防の枕は高過ぎず低過ぎずを意識してみてくださいね。
いびき枕おすすめランキング
「枕って色んな特質のものがあり過ぎて。果たしてどれがいいのだろう…」と悩んでしまいませんか?
今は色んな形状・素材のものがありますから、どれがいびき枕に適しているのかを判断するのもひと苦労なんですよね。
ここまでは、枕選びのポイントについて説明してきましたが、ここからは具体的にどんなものがあるのか、どんなものがおすすめなのか、ランキング形式でご紹介していきます。
これから買おうと思っている人も、今まさにいびきにいい枕の難民になっている人も、ご紹介するアイテムの特徴などをチェックしてみてください。
ブレインスリープ ピロー サイレント
いびきを抑えるために「横向き寝をさせやすい形状」に作られている、ブレインスリープのピロー サイレント。
枕の形が「クラウンウエーブ」になっています。
クラウンウエーブとは、枕の両端と中央部分を10cmの高さ、それ以外の部分を波打つように高さ8cmに下げることから生まれた、王冠のような形のこと。
この波打つ形状で、意図的に横向き寝をさせる仕組みです。
横向きになったときに、肩の高さがフィットするように設計されているため、肩の負担が軽減できるようになっています。
しっかりサポートしたい首に当たる部分には、へたり防止とフィット感を与えるための特殊な芯材が採用されているため、顎が下がりすぎてしまうのも防ぐことが可能です。
さらに、洗濯も可能で、自宅で簡単にシャワーで洗い流せるというメリットも。
ピローサイレントのスペックは以下のとおりです。
価格 | 22,000円 |
サイズ |
幅 65cmx高さ 8cm~10cmx 奥行 27cm
|
詰め物 |
ポリエチレン100%
|
ポイント |
40~50度のお湯で洗うと形状を復活させられる
|
関連記事:ブレインスリープピローの口コミや評判がステマで怪しい?
YOKONE3
横向き寝をしたときにやり場に困りがちな腕…。
そんな腕置きがついていたり、首を当てたときに首を適度に刺激してこりをほぐす突起がついていたりと、至れり尽くせりな工夫が施されているYOKONE3。
生活習慣病などを主とする医師も推奨しており、大手メディアにも数多く取り上げられている横向き対応可能な枕です。
男性・女性で肩幅の平均サイズは異なりますが、高さ調整板2枚(2cm×1枚と1cm×1枚)内臓されているため、
9cm | 高さ調整板を1枚も入れていない状態(高さ調整板を抜いた状態) |
10cm | 1cmの高さ調整板を1枚使用 |
11cm | 2cmの高さ調整板を1枚使用 |
12cm | 1cmの高さ調整板と2cmの高さ調整板を使用 |
と、4段階もの高さ調整が可能ですので、どなたでも気楽に利用できます。
中の詰め物は、ウレタン素材を使用しているため、沈みすぎず硬すぎない上に、人体工学に基づいた形状になっているため、体にフィットしてくれる優れモノ。
また、横向きのみならず、仰向けでも問題なく使用できるため、一石二鳥の使い方ができます。
YOKONE3のスペックは以下のとおりです。
価格 | 19,800円 |
サイズ | 幅 60cmx高さ 9cm~12cmx 奥行 47cm |
詰め物 | 枕、高さ調整板ともにポリウレタンフォーム100% |
ポイント | 1ヶ月の返金保証あり |
関連記事:YOKONE3の口コミと使い方!ムーンムーンの横向き寝専用枕の評判は?-->
ニトリ 横向き寝がラクなまくら
リーズナブルな価格なのに、機能性を兼ね備えているアイテムが多いニトリからも、横向き寝に適した枕が販売されています。
その名も、「横向き寝がラクなまくら」。
ほかの枕と比べると、かなりお財布に優しい価格にもかかわらず、高さ調整も可能な枕です。
枕本体の高めが7.5cmと低めの設計にはなっていますが、高さ調整シートも、2cmのものが1枚、3cmのものが1枚の計2枚入っているため、低めの枕が好きな人から、高めの枕が好きな人まで、気軽に利用できます。
また、中の詰め物は、ウレタンフォームを採用しているため、体にフィットしやすく、首や肩の負担軽減ができるのも嬉しいポイントです。
ただし、硬く感じて耳が痛い・寝返りがしにくいという意見も見受けられるため、柔らかめの枕が好きな人は、ネット通販での購入よりも、店頭で実物を試してみてから購入することをおすすめします。
ニトリは実店舗数も多いので、気軽に足を運べるのもメリットです。
なお、横向き寝がラクなまくらのスペックは以下のとおり。
価格 | 3,990円 |
サイズ | 幅 57cmx高さ 7.5cm~12.5cmx 奥行 40cm |
詰め物 | 枕、高さ調整板ともにウレタンフォーム |
ポイント | 横向きでも仰向けでも使用可能 |
参考:横向き寝がラクな高さ調整まくら(ナチュラルフィット)通販 | ニトリネット【公式】 家具・インテリア通販
西川 もっと横楽寝
西川で人気の目的別で選べる枕、「医師がすすめる健康枕」のシリーズのひとつでもある、「もっと横楽寝」。
このシリーズはそもそも、
・睡眠科学
・医学
・老舗寝具メーカー西川の技術と経験
というタッグに、たくさんの利用者の意見や悩みを解決しようという思いが合わさって生み出されたシリーズで、名前のとおり、横向き寝が楽にできる工夫がなされた枕です。
もっと横楽寝に施されている工夫は
・首肩のアーチに合わせて負担を軽減
・両端は横向き寝をしても枕から落ちてしまわない丸型に
・ムレて寝苦しくないように詰め物はパイプを使用
・高さ調整が可能
など、多岐にわたります。
もっと横楽寝はもともと「高め」と「低め」の2種類の取り扱いがあるのですが、どちらのタイプであっても高さ調整ができる上に、パイプの詰め物と両端のウレタンフォーム調整シートの3点でできるようになっているんです。
お好みの高さになるよう微調整ができるため、枕の高さに悩む人にとっては非常に助かりますよね。
なお、もっと横楽寝のスペックは以下のとおり。
価格 | 5,500円 |
サイズ | 幅 65cmx 奥行 35cm ※高さはパイプのため前後あり |
詰め物 | ポリエステル100% |
ポイント | 洗濯機で丸洗いも可能(高さ調整のウレタンフォームは抜きとる) |
フランスベッド スリープバンテージピロー
ホンマでっかTV。?や有吉ゼミなどの人気番組でも取り上げられたことのある、横向き寝のためのスリープバンテージピロー。
アルファベットの「J」を逆さまにして使うタイプの枕で、
・頭
・首
・肩
・背中
の4点をしっかりサポートして、横向き寝のあらゆる負担を軽減できる作りになっています。
というのも、横向き寝をしているときに、うつむき姿勢になってしまい首の負担を増やしてしまったり、枕からずり落ちてしまい熟睡できなくなったりしてしまいがち…。
しかし、4点でサポートされることにより、正しい横向き寝の姿を、自然とキープできるようになっているのです。
また、独特の形状により、手のやり場が自然と収まりやすくなっています。
自然と寝姿にフィットするため、一度使用するとクセになる人も。
なお、スリープバンテージピローのスペックは以下のとおりです。
価格 | 3,980円 |
サイズ | 幅 55cmx高さ 13.5cmx 奥行 42cm |
詰め物 | ポリエチレン100% |
ポイント | 耳の当たる部分にくぼみがあり、耳が痛くなりにくい |
テクノジェル アナトミックピロー
ポーランドやフランスなどを代表して、羽毛布団などの寝具の開発が進んでいるヨーロッパ。
ご紹介する「アナトミックピロー」は、そんな寝具開発が進んでいるヨーロッパ・イタリアの寝具メーカー・テクノジェル社の枕です。
もともとテクノジェルは、医療マットなど体に負担をかけないジェル(液体に近い個体)を作っていたメーカーでしたが、そのノウハウを活かして、寝具業界にも参入した企業。
水のように柔軟に形状を変化させ、優しく包み込む特質のあるジェルをふんだんに使った枕ですので、
・横向き寝でも耳が痛くならない
・枕と体に隙間ができにくい優しいフィット感
・自然に動くジェルのおかげで寝返りがしやすい
などのメリットがあることが、おすすめな理由です。
枕そのものの形状も、人間工学に基づいて設計されており、頭にフィットしやすいカーブの形状になっているため、首の高さを適度にキープしつつ、頭にかかる圧を分散してくれます。
低反発でも高反発でもないジェルが、寝姿をしっかりサポートしてくれる、どんな人にもフィットしてくれる枕です。
なお、アナトミックピローのスペックは以下のとおり。
価格 | 29,700円 |
サイズ | ・幅 66cmx高さ 7cmx 奥行 42cm (身長155cm以下) ・幅 66cmx高さ 9cmx 奥行 42cm(身長155〜165cm) ・幅 66cmx高さ 11cmx 奥行 42cm(身長165cm以上) ※身長はあくまで目安です |
詰め物 | ウレタンフォーム ※表面にジェルを使用 |
ポイント | メーカー保証3年 |
関連記事:テクノジェルピローの口コミ評判!寿命は?店舗でお試しできる?
テンピュール ソナタピロー
三日月の形をしたテンピュールのソナタピローは、横向き寝や寝返りをしたときに頭が枕から落ちない設計になっています。
また、テンピュールの包み込むような優しい素材が、首や肩にフィットしやすく、睡眠中の体の負担も軽減できるため、こりに悩む人にもおすすめです。
そもそもテンピュールは、体に大きな重力がかかる宇宙飛行士のために開発された高密度なウレタン素材で、重力の緩和・体への負荷の吸収力に長けた特性があります。
つまり、枕やマットレスに使用するのにはうってつけの素材ということですね。
高さも2種類あるので、お好きな高さを選べるようになっています。
ただ、それだけのブランドですから、値段が気になるかたもいるでしょう。
購入に迷われるかたは、主要都市にテンピュールの実店舗・ショールームもあるので、お試ししてから購入することも可能です。
しっかり試して、納得してから購入できるのは助かりますよね。
なお、ソナタピローのスペックは以下のとおりです。
価格 | 20,900円 |
サイズ | S : 幅 61cmx高さ 9.5cmx 奥行 40cm M : 幅 61cmx高さ 11cmx 奥行 40cm |
詰め物 | テンピュール |
ポイント | メーカー保証3年 |
関連記事:テンピュール枕の口コミ!首が痛い・肩こり・合わない評判はある?
いびき枕で電動のおすすめ
最近では、ヒーターを搭載した電動枕やEMSを搭載した電動枕もありますが、いびき対策にいい電動枕も販売されています。
いびき用の電動枕は、いびきを感知したら自動でいびきが起こりにくい姿勢に変えてくれる機能がついているため、枕任せで熟睡できるのが嬉しいポイントです。
いびきを気にするあまり、
・横向きに寝ないと。
・呼吸しやすくしておかないと。
・いびきかいてないかなぁ…
などと意識し過ぎてしまう人もいます。
しかし、安心して休めなくなってしまっていたら本末転倒ですから、こういった自動機能に委ねてみるのもいいですよ。
AI枕 ZEREMA
メディアでも紹介されたことのある、韓国生まれのAI枕「ZEREMA(ゼレマ)」。
枕の中にエアポンプが搭載されており、
・寝姿勢に合うように自動でフィットしやすい高さに調整してくれる
・いびきを感知したら、自動で高さ調整をしてくれる
・睡眠データをアプリで収集することでより快適な睡眠に導いてくれる
という優れモノです。
ZEREMAの場合、枕の中にセンサーが搭載されているため、寝ているときに感知する音に対する誤作動も少なく、より正確に作動してくれます。
使い方は、
①ZEREMAを電源アダプターにつないで電源をオン
②スマホでアプリを起動する
③アプリを寝音の拾える位置にセット
この3つのみ。
あとは寝るだけです。
使用するほどに、ご自身の睡眠データが蓄積されていくため、どんどん賢くなっていく枕ですから、使ってみる価値はありますね。
ZEREMAのスペックは以下のとおりです。
価格 | 46,200円 |
サイズ | 幅 60cmx高さ 12cmx 奥行 42cm |
詰め物 | オープンセルメモリーフォーム |
ポイント | 人間工学設計の形状でマシュマロのような質感 |
エムール いびきケアパッド
エムールのいびきケアパッドは、今お使いの枕の下に、エアバッグパッドを敷いて使用します。
そのため、枕そのものというわけではありません。
いびきケアパッドにケーブルで「いびきセンサー」がつながっており、そのいびきセンサーを枕元にセットしたら、あとはパッドの上に枕を置いて寝るだけです。
いびきセンサーがいびきを感知すると、自動でエアバッグが作動して、頭の向きを変えるように促してくれるのです。
また、専用アプリをパッドと連動させると、睡眠データの収集もできるので、自身のいびきや睡眠の質に関してもチェックできるようになっています。
ただし、インターネット通販での取り扱いのみになっており、お試しは原則不可。
ショールームもあるにはあるのですが、
・予約制
・東京都内の1店舗のみ
・いびきケアパッドお試し対象外(ほかの枕や布団などはあります)
という条件です。
いびきケアパッドのスペックは以下のとおり。
価格 | 21,600円 |
サイズ | ・パッド幅: 57cmx高さ0.8cmx 奥行 27cm ・いびきセンサー:20cmx高さ7cmx 奥行 15cm |
ポイント | いびき認識率90%以上 |
参考:いびき軽減まくらパッド いびきケアパッド | 寝具・家具の専門店 エムール
いびきが起こるメカニズム
そもそも、どういったメカニズムでいびきが起こるのでしょう?
いびきが起こる原因は、
・お酒を飲んで寝る
・鼻炎などの鼻の詰まり、薬の服用
・女性ホルモンの減少、老化
・疲労
・肥満、骨格
・脳梗塞や甲状腺機能低下症などの病気
・喫煙
など、一時的な原因もあれば、重大な病気が潜んでいる可能性がある原因まで、さまざまです。
また、いびきは「散発性いびき」と「習慣性いびき」の2種類があるのですが、
いびきの種類 | 意味・特徴 | 例 |
散発性いびき | 一時的な原因で起こるいびき | 疲労、風邪、お酒など |
習慣性いびき | 慢性的・習慣的に起こるいびき | 骨格、体型、生活スタイルの乱れ |
などに分類されます。
一時的な体調で起こるいびきであれば、その原因が解消されれば治るのですが、実際は習慣性いびきの人が大半です。
ここからは、少し踏み込んで、どういった症状からいびきが起きるのかについて考えていきます。
参考:いびき / snoring | e-ヘルスネット(厚生労働省)
①単純いびき症
病気などの原因はなく、ただただいびきの音が大きい人の場合、「単純いびき症」に該当します。
単純いびき症のメカニズムは、
1.横になったときに、重力などで喉の筋肉がゆるむ
2.舌の位置が下がり、のどちんこ(口蓋垂)や軟口蓋など、喉の奥のほうにズレていく(この状況を「舌根沈下(ぜっこんちんか)」といいます)
3.舌根沈下により気道を狭めてしまう
4.気道が狭くなったときの呼吸の振動によりいびきが起こる
というものです。
舌根沈下が起きる原因には、
肥満 | 舌も厚くなってしまい喉を圧迫する |
老化 | 筋力が弱り、舌が下がりやすくなる |
舌の大きさ | 舌が大きい場合なりやすい |
骨格 | もともと下顎が後方に引き気味 |
などがあり、あくまで病気のニュアンスは含まれません。
ただし、舌根沈下が進んでいくと、質のいい睡眠ができなくなったり、循環器・呼吸器などのトラブルが起きたりする可能性もあるため、注意が必要です。
②睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは文字通り、睡眠中に無呼吸になってしまうこと。
眠っている間に、呼吸をしていない状況があるという危険な症状です。
これは、舌根沈下がエスカレートして、気道を狭めるどころか塞いでしまう状態や極端に息の出入りが少なくなってしまうことから起こります。
睡眠時無呼吸症候群と診断される要素は、「無呼吸」の状態と「低呼吸」の状態が睡眠時にどれくらい起こるかが重要なポイント。
無呼吸 | 呼吸が10秒以上止まる状態 |
低呼吸 | 浅い呼吸になる・呼吸量が減る状態 |
これらの状態が、
①1時間に5回以上起こる
②1回の6,7時間の睡眠中に30回以上起こる
のどちらかに該当すると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
さらに、
・夜にトイレにいきがち
・寝ているはずなのに昼間に眠気がある
・集中力が低下する
など、日常生活に支障をきたすこともありますし、合併症が起きてしまう可能性も…。
放置していると命にかかわる病気にまで発展してしまうこともあるので、決して「ただのいびき」だなんて、軽視しないようにしましょう。
参考:睡眠時無呼吸症候群の症状(低呼吸・無呼吸)とは?|特徴や危険性 | つばさ在宅クリニック西船橋(船橋市の内科外来と訪問診療)
③鼻粘膜の腫れ
・花粉症やアレルギー性鼻炎が原因の肥厚性鼻炎(ひこうせいびえん)
・鼻の真ん中の壁の部分(鼻中隔)が曲がっている鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)
・副鼻腔炎(いわゆる「蓄膿症」)で起こる鼻粘膜の腫れ
などからも、いびきが起こることがあります。
鼻の粘膜が風邪やアレルギーなどで腫れてしまっていたり、先天的な鼻の形状、もしくはケガなどをして鼻の形が曲がってしまったりすることで、舌根沈下が起こりやすくなってしまうのです。
また、鼻粘膜に炎症が起きると(鼻詰まりなど)、鼻から息が吸い込みづらくなってしまうため、口呼吸をしてしまいがちになります。
さきほども少し触れましたが、口呼吸になってしまうと、舌根沈下が起こりやすくなるため、結果、いびきにつながってしまう悪循環に…。
特に風邪をひきやすい人や、鼻炎もちの人は、鼻の内側の状態のせいでいびきが起きている可能性もあるので、炎症を起こさないように過ごす工夫も必要です。
参考:いびきと鼻づまりは関係性が深い?原因と対処法を知って快適に過ごそう | コラム | イビキメディカルクリニック (IBIKI MEDICAL CLINIC)
枕でいびきが解消されるメカニズム
これまでご紹介したいびきのメカニズムでもおわかりいただけるでしょうが、どの症状の場合であっても「気道が狭くなってしまうこと」が原因で、いびきが起きてしまっています。
つまり、逆にいえば、「気道を確保しやすい寝姿勢をサポートできる枕」を使用していたら、軽減することが可能というわけなんです。
・喉にダイレクトに舌根沈下が起こるリスクを減らすために横向き寝に合う枕を使用する
・顎が下がりすぎて喉が詰まってしまわない高さの枕を使用する
・顎が上がりすぎて口呼吸になってしまわない高さの枕を使用する
などをすることで、じゅうぶんに気道の圧迫を防ぐことはできます。
また、寝返りがしにくい枕を使っていると、いびきの原因になることもありますから、呼吸がしやすく、寝返りもしやすい枕を選ぶだけでも、いびきの原因を作り出しにくくできるというメカニズムなのですね。
肥満体型だと横向き寝のいびき解消効果が薄れる
肥満体型の人の場合、横向き寝をしても効果が薄れてしまうという研究結果が出ています。
この研究では、横向き寝が睡眠時無呼吸症候群にどれだけ効果があるのかを確認するためにおこなわれたもの。
肥満体型の人も含め、さまざまな体型の人を対象におこなった研究でした。
その研究において、国際的な基準でもある肥満度指数「BMI (Body Mass Index)」と、睡眠時無呼吸症候群の指標「AHI値」を算出した結果、肥満体型ではない人の場合、横向き寝が睡眠時無呼吸症候群に効果があるというデータが出た反面、BMI指数が上がるほどに、AHI値も上がることも判明したのです。
BMI指数 | 身長と体重から、肥満レベルを計算する。数値が上がるほどに肥満度も上がる |
AHI値 | 睡眠1時間で無呼吸や低呼吸になる回数をもとに測る数値 |
さきほど、肥満もいびきの原因になることを少し記載しましたが、研究でもそれが証明されているため、いびきや睡眠時無呼吸症候群に悩んでいるかたは、体重管理も非常に重要なことであるということですね。
枕なしはいびき対策に効果がある?
結論からお伝えしますと、いびき対策のために枕なしで寝るということは、あまりおすすめできません。
たしかに枕なしのほうが、立っているときの姿勢に近くなり、気道が確保しやすい体勢になる一面はありますが、反面、首の自然なS字が保てなくなり、
・首こり
・頭痛
・肩こり
など、ほかの症状に悩む可能性があるのです。
そもそも人間の体は本来、バランスを保つために「生理的前弯」といって、背筋を保つ脊椎がS字カーブになっています。
頸椎(首)と腰椎(腰) | 前弯(前方に湾曲している状態) |
胸椎(肩から背中) | 後弯(後方に湾曲している状態) |
この湾曲がなくなってしまうと、
・全体のバランスが崩れてほかの不調の原因になってしまう
・頸椎の前弯がなくなると、横になったときに喉が狭窄され、呼吸がしづらくなる
・内臓の下垂
などの原因になってしまうのです。
枕を利用することには、それなりのしかるべき意味があります。
枕を使用して、
・気道の確保がしやすいよう顎を適度に上げる姿勢
・人工呼吸器を挿入するときの姿勢
・体全体に負担が出にくい姿勢
をとるようにして舌根沈下も防ぐようにするほうが、いびき対策としては有効です。
枕以外のいびき対策
枕を変える、寝姿勢を工夫するなど以外にもできる、いびき対策がいくつかあります。
・これまでいびき対策を寝具でしてきたいけどダメだった
・枕だけではなく、いびきの根本対策をしたい
・使い慣れている寝具を変えるのではなく、ほかの対策をとりたい
という人も多いのではないでしょうか?
たしかに、枕だけで対処しようとしても、「買ってみては合わない」…なんてことを繰り返していると、さすがに心も折れてしまいますし、お財布事情としても厳しいですものね。
枕以外にできる対策の鍵はふだんの生活にあります。
ではさっそく、その詳細を確認していきましょう。
対策①減量
肥満体型はいびきに大いに関係するため、減量は有効な対処法です。
太り気味な人は舌が厚い傾向があるのですが、舌が厚いのは喉を圧迫する原因のひとつでもあります。
また、見た目やBMI指数的には肥満に該当しないかたの場合でも、皮下脂肪が多く内臓肥満の傾向にあるかたもいます。
特に、運動をあまりしていないとなると、筋力がもちろん落ちていきますから、舌根沈下が起きやすい体になってしまいますし、いびきの問題のみならず、健康という意味でも解決していきたい問題です。
体重の管理・適切な体重への減量は、すぐに効果が出るわけではありません。
しかし、いびきの軽減・健康な体の維持という意味でも、筋力をつけるような運動を取り入れながら、減量に取り組んでみましょう。
対策②寝る前のアルコールや過食を控える
寝る前の飲酒(寝酒)や過食もいびきの原因です。
寝酒は体にいいなんて話もありますが、これはあくまで「少量のアルコールならいい」という話であって、習慣的な寝酒の話ではありません。
飲酒をすると、筋肉がゆるみます。
また、アルコールを分解するためには酸素がいつもより多く必要になるため、寝ている間に口呼吸にもなってしまいがちです。
つまり寝酒は、筋肉がゆるむ、口呼吸になるというダブルパンチないびきの原因を生み出します。
また、寝る前の過食は脳を覚醒させてしまい、寝付きにくくなって入眠しにくくなり、質のいい眠りの妨げになるためおすすめできません。
生活リズムの乱れや習慣から、就寝前に飲酒をしたり、食事をとったりするかたもいるでしょう。
あるいは、ストレスなどで習慣的に毎晩お酒を飲む、ただただお酒が好き、なんて人もいるでしょうが、少しずつお酒の量が増えていってしまっていないでしょうか?
いい睡眠のためにも、いびき改善のためにも、就寝前の飲酒や過食は控えるようにしてみましょう。
対策③上気道の筋力を鍛える
いびきは、上気道(鼻から声帯まで)の筋力のゆるみから起こります。
そのため、上気道の筋力トレーニングをして、ゆるみを軽減するようにしましょう。
と、いわれても、「上気道のトレーニングってどうやって?」と不安になりますよね。
上気道の筋力を鍛えるおすすめの方法は、舌出し体操です。
・舌を突き出して5秒キープしたあと、奥にしまって5秒キープを3セット
・舌を上顎につけて10秒キープしたあと、下顎につけて10秒キープを3セット
・「あいうべ体操」をする
などがあります。
「あいうべ体操」とは、口を大きく開けて
・アー
・イー
・ウー
と、口を動かした最後に、舌をしっかりと下にべー。と出す体操です。
あいうべ体操は朝昼晩それぞれ10回ずつ、1日で計30回することが理想ですので、忘れないように食後にやるなど習慣化できるようにしてみてくださいね。
対策④枕以外のいびき防止グッズを使う
口呼吸になっていびきをしていることもありますので、口が開いてしまうのも防ぐ専用のテープを使用してみるのもおすすめです。
口を軽くテープ固定するだけで、鼻呼吸を促します。
また、鼻炎が原因のいびきの場合にも、鼻腔拡張テープが販売されているので、試す価値あり。
こういった専用テープは、医療現場でも使用するような肌に負担のない素材でできているものが多いため、安心して使用してみてください。
ほかにも、鼻炎が原因でいびきが起きている時にはマスクを使用するのもおすすめです。
マスクをすることで、口や鼻が保湿されて鼻のとおりがよくなります。
なお、顎の形など骨格的な原因や筋力の衰えからいびきが起きている人には、マウスピースもあり。
マウスピースを使用することで、顎の位置がキープできるようになり舌根沈下を防ぐ効果が期待できます。
今、ご紹介したいびき対策グッズは、ドラッグストアなどでも取り扱われているため、気になるかたはぜひチェックしてみてくださいね。
いびき解消には耳鼻咽喉科で診察を受けよう
いびきを根本的に解消したい場合には、耳鼻咽喉科で診察を受けてみましょう。
これまでいくつかの原因をご紹介してきましたが、自身にどの原因があるのかというのまでは判断はできかねるでしょうし、いびきの原因には恐ろしい病気が潜んでいる危険もあります。
いくら枕などの寝具や寝方を頑張ってみても、効果が出ないこともあるでしょうし、自分に合ったいびき対策を知るにも、治療をするにも一度、しっかり専門家に確認してもらって損はありません。
服薬や手術で軽減できることもありますしね。
鼻咽喉科に行った結果、鼻や喉のトラブルレベルではなく、睡眠時無呼吸症候群であると判断されて、呼吸器科を勧められる可能性もありますが、とにかく行ってみないとなにも始まりません。
また、通院は1度きりで終わるわけではないため、今後も通いやすいところを選ぶとよいでしょう。