低反発枕のデメリット
「低反発枕を買おうか迷っている」
「自分に合う枕をどのように探せばいいのかわからない」
このような悩みをもっている方もいるでしょう。
そこで今回は、そのような方のために低反発枕のデメリットとメリットを解説します。
低反発枕に興味がある人、枕選びで悩んでいる方に参考になる記事となりますから、最後までお読みください。
まずは、低反発枕のデメリットから解説します。
低反発枕は重さがかかるとゆっくり沈み込み、重さがかからなくなるとゆっくり復元する枕。
そんな特徴から見える特有のデメリットもあります。
どんなデメリットか確認して、後でメリットと比較しながら選んでみてください。
①通気性が悪くムレやすい
低反発枕のデメリットの第一は、「通気性が悪くムレやすい」ことです。
反発枕で採用されている素材は低反発ウレタン。通気性が非常に悪い素材で、寝ているときも汗が発散されにくくなっています。夏は湿気もこもりやすく、ムレやすいです。
また温度の影響も受けやすく寒いと硬くなるという特徴もあります。そのため、快適な睡眠の妨げになりやすく、頭皮環境にもよくありません。
ただ、最近はメーカー側でも工夫を凝らしています。通気性を良くした低反発素材が開発されているのです。もともとフィット感のいい低反発枕ですから、通気性が良くなれば、気持ちよく寝られますね。
②寝返りがしづらい
低反発枕のデメリット第二は、「寝返りがしづらい」ことです。
低反発枕は沈み込みやすいタイプ。沈み込みが深ければ、寝返りはしにくくなります。
寝返りのしやすさは快適な睡眠に直結する部分です。人は一晩に20回も寝返りするともいわれていますが、寝返りがしにくい枕だと、疲れてしまいますね。
また、寝返りができないと、同じ個所に熱が溜まりやすくなり、ムレる原因にもなります。夏は特に大変。
寝返りを多くしたい人にとって、低反発枕は使いにくいです。
③ウレタン臭がする
低反発枕のデメリット第三は、「ウレタン臭がする」ことです。
低反発枕に使用されているウレタンには特有の匂いがあります。せっかく新しい低反発枕を買ったのに、匂いがあるのではがっかりですね。気持ちよく寝られません。
臭いの原因は「アミン」という化学物質です。ウレタン素材を作るときには様々な化学物質を混合するのですが、その中にあるのがアミン。正確には、第3級アミン類と呼ばれ触媒です。
製造中にほとんどは揮発される物質ですが、一部はどうしても残り、低反発枕特有の匂いとなるのです。
④洗えない
低反発枕のデメリット第四は、「洗えない」ことです。
洗えない低反発枕は、次のようなときに困ります。
・汗や頭皮の脂で汚れた
・嘔吐した
・枕の匂いが気になる
・食べこぼしや飲みこぼしで汚れた
・ペットが汚した
なぜ低反発枕が洗えないのかというと、次のような理由によります。
・水を含むともろくなり、破損してしまうことがある
・水を吸収すると、乾かない
・大量の水を吸収すると、硬くなったまま元に戻らなくなる
洗えない低反発枕は洗濯機に入れても乾燥機に入れてもいけません。
もちろん、コインランドリーでも洗えませんよ。
関連記事:低反発枕は洗濯できない!汚したときのお手入れ方法と洗濯してしまった場合の対処法
⑤安いものは寿命が短い
低反発枕のデメリット第五は、「安いものは寿命が短い」ことです。
低反発枕の価格は2,000円台から数万円台まで様々あります。あまり枕にお金は使いたくない人もいるでしょうが、低反発枕に限っては安いものを買うのは考え物。安いものは密度が低く、ヘたりやすいからです。
枕が早くヘたれば、寿命が来て使えなくなります。「安物買いの銭失い」ということわざがありますが、これは低反発枕にも当てはまります。
快適な睡眠を長く維持したければ、少し奮発して、価格が高めの低反発枕を購入しましょう。
低反発枕のメリット
低反発枕のデメリットを見てみましたが、もちろんデメリットだけではありません。メリットもいろいろあります。
低反発枕を購入しようか迷っている方は、デメリットとメリットを良く比較したうえで判断しましょう。
①もっちり吸い付く感触がやみつきに
低反発枕のメリット第一は、「もっちり吸い付く感触がやみつき」になることです。
低反発枕は頭と首、肩を包み込むように優しくフィットする枕です。柔軟に形状を変え、もっちり感とソフト感は抜群。一度味わうと、その感触が忘れなくなりそうです。横向き寝でも仰向き寝でも、ぴったりフィットします。
様々なデメリットがある低反発枕ですが、感触という点ではずば抜けています。この感触があるために、低反発枕を選ぶ人も多いです。
②体圧分散性が高い
低反発枕のメリット第二は、「体圧分散性が高い」ことです。
低反発枕は頭の重さに応じてゆっくり沈み込むのが特徴。特定の部位にのみ圧力が加わることがなく、程よく体圧を分散してくれます。
頭や首、肩にうまくフィットし、重さからくる圧力をより広範囲に分散。そのため、朝起きたときに、頭が痛い、首が疲れたということも起きにくいです。
快適な睡眠を得ようと思ったら、体圧分散性に優れた枕を使う必要がありますが、低反発枕がその目的にかなっています。
③どんな頭の形でもフィット
低反発枕のメリット第三は、「どんな頭の形でもフィット」することです。
低反発枕に頭を乗せると、頭の形に沿うように沈み込みます。どんな頭の形をした人にもピッタリ合うように沈み込むので、フィット感が非常に気持ちがいいです。
その感覚はまるでオーダーメイド枕のよう。自分の頭の形によく合いますから、寝心地も最高です。
寝る向きを変えても、頭の形にフィット。一度このフィット感を味わうと、ほかの枕を使いたくなくなるかもしれません。
寝るのが楽、快適になります。
④圧縮してコンパクトになる
低反発枕のメリット第四は、「圧縮してコンパクトになる」ことです。
低反発枕の種類によっては、圧縮したり丸めたりすることで、コンパクトに収納できるものがあります。
低反発枕を外出先で使ってみたい場合は、このコンパクトさはとても便利。外出先で広げれば、元の状態に戻ります。
ただし、ぺちゃんこになった低反発枕は復元しません。ゆっくりと沈み込む低反発枕は完全につぶれてしまうと、元には戻らないのです。
圧縮や丸める場合も、無理な力を加えないように優しく扱ってください。
低反発枕が合う人
低反発枕のデメリットとメリットを見てみましたが、そこからわかる合う人合わない人を考えてみましょう。
まず低反発枕が合う人です。
低反発枕にはソフトなフィット感があるので、包み込まれるような感覚の中で寝たい人にはおすすめです。
頭や首との相性も非常によく、優しく支えてくれます。
寝返りが多い人でも、そのたびに頭にフィット。向きを変えても頭へのフィット感が変わりません。
次に枕の圧迫感が気になる人にも低反発枕が合っています。
低反発枕は頭の重さに応じてゆっくり沈み込むので、頭や首への圧迫感があまりないからです。
小柄な人にも合いやすいのが低反発枕。
低反発枕のデメリットとして頭が沈み込みすぎてしまうことがありますが、小柄な人は頭が軽いので、沈み込み感もちょうどいいくらい。
それほど沈み込みを気にせずにお休みになれます。
低反発枕が合わない人
低反発枕が合う人もいますが、合わない人もいます。
メリット・デメリットなどもよく比較しながら、自分が合うのか合わないのかよく考えないといけません。
ここでは合わない人の特徴をいくつか挙げてみるので、自分が該当するように思われたら、ほかのタイプの枕を購入してください。
暑がり・汗かきな人
暑がり・汗かきな人に低反発枕は合いません。
低反発枕のデメリットのコーナーで、「通気性が悪くムレやすい」ことを指摘しておきましたが、通気性の悪さは暑がりや汗かきの人にとっては不快なところでしょう。
特に夏場は不快度も上昇気味。暑がり・汗かきな人が夏場に低反発枕を使うと、頭や首の周りが汗だくだくになるかもしれません。
では、暑がり・汗かきの人はどのような枕を使えばいいかというと、通気性のいいファイバー製の枕がおすすめ。
エアウィーヴピローなどもいいですね。
エアウィーヴピローの中材の90%は空気のエアファイバー®。通気性抜群で、内部に湿気がこもりません。
ジェル素材を使った枕も暑がり・汗かきの人に合います。ジェル素材の枕は格子構造になっていて、通気性に優れているからです。
ウレタン臭がニガテな人
低反発枕のデメリットのところで取り上げたウレタン臭。
新品の低反発枕でも特有のウレタン臭が発生します。封を開けたときにあたりにウレタン臭が充満ということもよくあります。このウレタン臭がニガテな人に合わないのが低反発枕です。
低反発枕は寝心地は快適なのですが、匂いが気になって気持ちよく寝られないという人もいます。
低反発枕のウレタン臭を取る方法も紹介されています。風通しのいい日陰に干すとか消臭スプレーを使うとかです。
ただどうしても気になるようなら、ほかのタイプの枕を買った方がいい場合もあります。低反発枕と同じような沈み込み感触があって、匂いがないものというと、羽根枕やビーズ枕などもあります。
枕を洗いたい人
枕を洗いたい人にも低反発枕は合いません。
低反発枕を洗うと、ボロボロになってしまったり、吸収した水が排出されず乾かなかったりすることがあります。
枕が汗で汚れた、髪の毛やふけが付着した、匂いがこもった、食べこぼしをしたなどの時は、低反発枕ではちょっと困りますね。
汚れや汗などにより、低反発枕の劣化が早まることもあります。
枕をどうしても洗いたい、清潔に使いたいというのなら、ファイバー枕がおすすめ。すでに紹介したエアウィーヴピローは中材をシャワーで簡単に水洗いできます。これでいつでも清潔に使えますね。
腰痛持ちの人や高齢者
低反発枕は腰痛持ちの人や高齢者には合っていません。理由は寝返りが打ちにくいから。
寝返りをした時の頭や首へのフィット感が非常にいい低反発枕ですが、寝返りそのものはしにくいです。頭が沈み込みがちになるので、体を回転させるときにイマイチサポート感がありません。腰痛持ちの人や高齢者は気持ちよく寝返りをしないと、腰の痛みがひどくなったり、体に負担になったりすることもあります。
腰痛持ちや高齢者におすすめの枕はやや硬めのタイプです。寝返りがラクに打ちやすく、頸椎をしっかり支えてくれます。
脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどの症状を患っている人も、硬めの枕のほうが合いやすいです。
低反発枕とは?素材と特徴
ここまで低反発枕のデメリットやメリットを見てみましたが、そもそもどういう枕なのか素材や特徴について詳しく見てみます。
低反発枕の素材はウレタンフォームやウレタンチップ、ウレタンジェルなど。いずれも反発力の小さな素材で、頭に柔軟にフィットするようになっています。形状も頭の重みによって変わるので、個人差をあまり考えずに使うことができます。
硬さは柔らかめ。頭のサポート感はあまりありません。柔らかすぎて頭が沈み込みすぎてしまうので、寝返りが打ちにくいです。
低反発枕と高反発枕の違い
低反発枕とよく比較されるのが高反発枕。
ここではこの2種類の枕の違いを解説します。
表で比較してみましょう。
種類 | 低反発枕 | 高反発枕 |
沈み具合 | よく沈む | あまり沈まない |
体圧分散性 | 高い | 低い |
価格 | ピンキリ | ピンキリ |
通気性 | 良くない | モノによる |
お手入れ | 洗えない | ファイバーは洗える |
耐久性 | 低い | ふつう |
低反発枕でも高反発枕でも素材にウレタンが使われることがありますが、高反発枕ではそのほかにファイバーやラテックスを使ったものがあります。
ファイバー製の高反発枕は通気性が良く、洗えるのがいいところ。枕を清潔に使い続けたい人にはちょうどいいタイプです。
耐久性という点では、高反発枕が上。しっかりした作りになっているので、長持ちします。
寝心地では低反発枕が包み込むようにフィット感が得られるのに対して、高反発枕は適度な硬さと反発力で頭や首をサポートし、負荷をかけません。
低反発枕は寝返りをした時に頭に良くフィットするのですが、寝返り自体は柔らかくてしにくいです。
高反発枕はしっかり頭や首を支えてくれるので、寝返りがしやすくなっています。
低反発枕の選び方
低反発枕の選び方を解説しましょう。
一口に低反発枕といっても、いくつかのタイプがあります。
タイプによって自分に合う合わないがあるので、よく考えて選ぶ必要があります。
ここでは低反発枕を選ぶうえでの特に意識したい点を2つ紹介します。
自分に合った高さ
低反発枕を選ぶ際は、自分に合った高さのものにしましょう。というと、標準の高さを選べばいいのかと思うかもしれませんが、低反発枕は沈み込むタイプ。実際に寝るときは、見た目の高さよりも低くなります。
そのため、ほかの枕を選ぶような感覚でいると、失敗することもあるでしょう。
そこで、見た目の高さ+2cmくらいの高さを考えて選ぶと、ちょうど良くなります。
問題は高さ選びで迷うときです。
枕の高さが合うかどうかは、実際に使ってみないとわからないところもあります。
そこでどうするかですが、高さ調整ができる低反発枕もおすすめです。後で自分に合った高さにできます。
あるいは、低めの低反発枕を購入しておいて、低く感じるようなら、バスタオルで高さ調整することもできます。
寝返りが多いなら横幅は広め
低反発枕の幅選びは、寝返りが多い人は広めのものを購入しましょう。小さめの低反発枕を選んでしまうと、寝返りをした時に頭が落ちてしまいます。
ではどのくらいの横幅が寝返りに適しているかというと、幅60cmくらいで頭が落ちません。幅70cmくらいなら、寝返りをよくする人でもしっかりサポートしてくれます。逆に小さいサイズの幅50cmくらいだと、ちょっと幅が足りませんね。
ただ、低反発枕で多いタイプが幅が小さめのもの。寝返りを良く打つ人はこのようなタイプは選ばず、一回り大きなサイズを探してみてください。
低反発枕Q&A
低反発枕の向きはどっちが手前?
低反発枕は普通の枕と違って、高い辺と低い辺で構成されています。そのため、どちらの辺をどちら側にして寝ればいいのか、迷うこともあるでしょう。
正解は、高い辺が首側(手前側)、低い辺が頭頂部側となります。
しかし、意外に逆向きで使っている人も多いです。
低い辺を首側、高い辺を頭頂部側というようにですが、低反発枕の効果を確かなものにするためには、正しい向きで使いましょう。このほうが頭や首、肩の状態のためにはいいのです。
低反発枕のお手入れ方法は?
低反発枕は洗えないので、別のお手入れ方法が必要になってきます。
まず基本は陰干しです。陰干しにより湿気が飛び、カビの繁殖も防ぎやすくなります。匂いもある程度抑えられます。
天日干しをしてはいけません。低反発枕に使われている素材は紫外線に弱いので、天日干しをすると、急速に劣化してしまうからです。
低反発枕が汚れたときは、カバーだけなら洗濯し、本体まで及んでいるのならタオルやティッシュで押さえながら取り除きます。
水にはつけないでください。低反発枕は水にも弱いです。
低反発枕は肩こりにいいの?
低反発枕は肩こりにいい部分と悪い部分があります。いい部分は後頭部や首、肩にかかる圧力が分散され、負荷が減り、肩が楽になること。悪い部分は寝返りが打ちにくく、寝返りを打とうとすると、肩に負担になることです。
肩こりは次のように筋肉と関係しています。
・僧帽筋(そうぼうきん)
・肩甲挙筋(けんこうきょきん)
・胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
・頭板状筋(とうばんじょうきん)
・菱形筋(りょうけいきん)
自分に合わない低反発枕を選んでしまうと、なおさらこれらの筋肉が緊張し、こりやすくなります。
肩の筋肉を休め、肩こりを防ぐためには寝返りが打ちやすい枕のほうがおすすめです。できれば低反発枕よりも、硬めの枕を選びたいところですね。
低反発枕はストレートネックにいいの?
低反発枕の向きを正しくすると、ストレートネック防止に役立つといわれています。
ストレートネックとは、本来柔らかな曲線を描いているはずの首のラインがまっすぐになっている状態。
低反発枕の高い辺を首側にすることで、ストレートネック状態が改善するというのです。
しかし、その効果は限定的。ストレートネックを枕だけで改善するのは難しいです。
そのため、低反発枕がストレートネックにいいかという視点よりも、寝心地がどうなっているかで選ぶ方がおすすめです。
低反発枕は首が痛くなる?
低反発枕自体は首への負荷が軽くなるので、痛くなることは少ないです。
頭を乗せるとゆっくり沈み込み、包み込むように支えてくれる低反発枕は、首も優しくサポート。特に高い辺を首側に持ってくれば、首も楽になります。
ただ、首が痛くなったという人もいるかもしれません。それは低反発枕の反発力というよりも、高さが原因です。
低反発枕の高さは沈み込みがある分低くなっています。もし低くなった低反発枕の高さが自分に合わないと、首や肩が痛くなるものです。
そのため、高さが合うものを選ぶか、へたってきたら買い替える必要があります。