【ピットブルの事故】日本での事例(人間の死亡例なし)
ピットブルは日本ではそもそも飼育頭数が少ないということもあり、事故例はあまりありません。
また、幸運なことに、人間の死亡例もありません。
ただし、チワワやトイプードルなど小型犬が襲われて死亡した事例はあります。
なお、ジャパンケネルクラブの登録頭数を見てみると、ピットブルの正式名称である「アメリカン・スタッフォードシャー・テリア」は1頭しか登録されていません。
(ちなみに親系統であるスタッフォードシャー・ブル・テリアは41頭登録されています)
もちろん登録されていない犬もいますが、飼育頭数トップのプードルが85,347頭も登録されていることから比較すると、規模としては非常に小さいといえます。
そのぶん道端で出会う確率も低く、事故の少なさにつながっています。
小学生二人がピットブルに噛みつかれてケガ(2016年)
2016年に沖縄で小学生2人がピットブルに噛みつかれてケガをしました。
塀に囲われた家の庭で飼われていましたが、ブロック塀を飛び越えて、小学生数人が遊んでいるところに襲い掛かりました。
1人は男子で右太ももに数針のケガ、1人は女子で胸やお腹にけがをしました。
飼い主は狂犬病予防法に基づく飼い犬登録をしておらず、また狂犬病の予防接種設けていませんでした。ずさんな管理体制がうかがえますね。
高齢女性がピットブルに噛みつかれて重傷、飼い犬は死亡(2020年)
2020年に千葉県銚子市で、自宅から逃げ出したピットブルが、道端で人を襲った事件です。
飼い主の男性は室内でピットブルを放し飼いにしていましたが、外出しようと家のドアを開けたときに逃げ出しました。
その後、犬を散歩中の67歳の女性に襲い掛かり、女性は腕や腹に全治約40日のケガを負いました。
女性の飼い犬であるトイプードルも噛まれて死んでいます。
記事内に「昨年6月から飼育」とあることから、子犬から飼っていた場合は1歳程度の年齢と考えられます。
まだまだ遊びたい盛りの年齢ですね。
千葉日報-逃げた犬にかまれ近所の女性けが トイプードルも襲われ死ぬ 容疑で飼い主書類送検
【ピットブルの事故】海外での死亡事故
海外での死亡事例はたくさんあるので1件だけ紹介します。
アメリカのニューヨーク州ロングアイランドで、70歳の女性がピットブルに噛みつかれて死亡した事例です。
老夫婦の夫が外出中、妻が飼っていたピットブルに襲われました。
夫が戻ってきたときに目にしたのは、家の裏庭を引きずられていく妻の姿。
この時点で腕が千切られており、すでに出血多量で死亡していたものとみられます。
夫は警察を呼び、ピットブルはかけつけた警官によって射殺されました。
なお、対応した警官も外傷を負って治療するはめになったほか、残虐に殺された妻の姿を目撃したことで、精神的にもダメージを負ったとのこと。
ピットブルの年齢は7歳。シニアにさしかかる頃ですが、年をとっても落ち着くわけではなく、まったく油断できないことがわかります。
アメリカでの事故は非常に多い
アメリカでピットブルによる事故を収集しているサイトがありました。
どのくらい事故が発生しているのかを数えてみると、2021年8月1日~2022年7月31日までの1年間でなんと402件もありました。
うち死亡事故が37件です。
つまりピットブルによる事故は1日に1回以上、死亡事故は10日に1回程度起こっていることになります。
飼育頭数はさほど多くない(アメリカンケネルクラブの人気ランキングで75位)にもかかわらず、これだけの事故を引き起こしているピットブルはやはり危険な犬種といえます。
【ピットブルの事故】youtube
youtubeにピットブルが小型犬を襲った動画がUPされていました。
定点監視カメラから撮られた映像で、散歩中のピットブルが、別の飼い主の小型犬にすれ違いざま噛みつき、しばらく離さなかったという内容です。
小型犬の飼い主はリードをつけておらず、小型犬は一人で家の前をウロウロしていました。
そこに、小学生らしき女の子にリードを引かれたピットブルが通りがかります。
ピットブルは日常的な足取りで小型犬に近づき、手の届く距離に入るやいきなり襲い掛かります。
飼い主の女の子は事件が起こった瞬間からリードを離してしまい、最初から最後まで悲鳴を上げ続けるだけで何もできていません。
小型犬の飼い主は必死にピットブルを噛みつかれたワンちゃんから引きはがそうとしますが、まったく離れません。
やっと離したときには小型犬はぐったり。タイトルからするに、そのまま亡くなってしまったようです。
痛ましい事件で、本サイトに掲載するのもどうかなと思ったので、動画埋め込みはしません。
一応リンクだけ張っておきます。
カメラが遠いので仔細にはわかりませんが、緊迫感は十二分に伝わってきます。
【閲覧注意】GRAPHIC CONTENT: Pit bull kills family dog in savage attack
【ピットブルの事故】なぜ危険なのか?
ピットブルはなぜ危険なのか。
その理由は、もともと闘犬として生み出された犬種であり、闘争本能が強いためです。
ピットブルの正式名称は「アメリカン・ピット・ブル・テリア」といい、イギリスからアメリカに輸入された「スタッフォードシャー・ブルテリア」をベースに作られた犬種です。
「ブルテリア」の名前の通り、ブルドッグとテリアの血筋を引いています。
アメリカではかつて闘犬が娯楽の一種として大っぴらに行われていました。
闘犬は1900年に禁止されましたが、今でも非合法に行われているところがあるようで、2020年には闘犬用に大規模飼育されていた犬を保護した事例があります。
より強い、より獰猛な、より闘争本能の強い犬を求めて交配を繰り返した結果生まれたのがピットブルです。危険でないわけがないのです。
油断しがちなポイントは、ピットブルはそれほど体が大きくない点です。
体重は成犬でも20㎏前後で、分類でいうと中型犬に属します。
体重が50㎏もあるグレートデーンなどの大型犬に比べると制御しやすいと思ってしまいがちですが、襲われるまでは一瞬。
そしてひとたび噛みついたら離さない顎の力があり、気づいたときには大ケガ必至の状態に。
ピットブルは茨城県で噛みつき事故を起こしやすい「特定犬」に指定
茨城県では「茨城県動物の愛護及び管理に関する条例」において、噛みつき事故を起こしやすい犬や、噛みつき事故を起こした場合に重大な事故になる可能性がある犬を「特定犬」に指定しています。
・秋田犬
・紀州犬
・土佐犬
・ジャーマンシェパード
・ドーベルマン
・グレートデーン
・セントバーナード
・アメリカンスタッフォードシャーテリア(ピットブル)
ご覧のとおり、たった8種の中にピットブルが入っています。
しかも他の犬種はほとんど大型犬。
特定犬は、
・檻の中で飼うこと
・住所の出入り口付近に「特定犬」の標識を掲げること
の2つが義務付けられています。
それだけ飼うのに注意を要する犬種だということですね。
イギリスでは「危険な犬に関する法律」でピットブルが指定
イギリスでは1991年に「危険な犬に関する法律」が施行され、危険な犬の繁殖や販売、譲渡が禁止されました。
「危険な犬」の具体的な犬種にはピットブルと土佐犬が指定されています。
もうイギリスではピットブルは正規に入手できなくなっていますし、もし繁殖しようとしているブリーダーがいたら違法行為をしていることになります。
日本やアメリカだとこうした犬種ごとの制限がなく、子犬を販売しているブリーダーはすぐ見つかりますし、購入する側も特に資格や講習が必要なわけではなく誰でも入手できます。
意識の違いが見てとれますね。
【ピットブルの事故】特徴
ピットブルの事故の特徴は、飼い主以外を襲っているということです。
先ほど挙げたアメリカの死亡例も、それまで継息子が飼っていましたが、継息子がバイク事故で死亡したため2週間前に引き取ったという状況でした。
主従関係がしっかりできていれば、飼い主を襲うことはほぼないといえます。
ただし、幼い赤ちゃんを襲った事例もあることから、たとえ家族であっても、家族の一員と認識されていない場合もあります。
逆に言えば、家族以外の人間やペットが近づくのは極めて危険だということ。
道端で散歩中のピットブルを見つけたら、くれぐれも安易に近づかないことです。
日本では小型犬が襲われた事例がありますが、海外ではゴールデンレトリバーが襲われた事例もあります。
体が大きいから安全という考えは間違いです。
遠巻きに見かけたら面倒でも遠回りしたほうが無難です。
小さいワンちゃんや子供を連れているならなおさら。
「おとなしい」「人懐こい」などといわれても信用してはいけません。
まちがって「お手」などしようものなら、手首ごと食いちぎられる可能性もあることを頭に入れて、慎重に行動しましょう。