モグワンは肝臓の悪い犬におすすめ?与えても大丈夫?
「モグワンは肝臓の悪い犬にあげても大丈夫なの?」
結論からいうと、すでに肝臓の数値が悪くなっているワンちゃんには、モグワンはおすすめではありません。
一口に肝臓病といっても、症状は多岐にわたり、その内容によって制限すべき栄養素は異なります。
しかし、モグワンは一般的な総合栄養食なので、ケアしきれないところも出てきます。
もちろんモグワンを与えても大丈夫な場合もありますが、何かあったときに後悔しないためにも、きちんと獣医師の診察を受け、体の状態に応じたフードを紹介してもらうのが一番です。
ただし、健康なワンちゃんの肝臓の数値を悪化させるような危険な原材料・成分は含まれていないので、健康状態が良好なワンちゃんなら問題なく与えることができます。
モグワンの肝臓に関する口コミ
モグワンの肝臓に関する口コミがあれば参考になると思い調査しましたが、口コミはありませんでした。
Amazon・楽天・Yahooショッピング・Twitter・インスタ・2chまでひととおり調査しましたが、まったくなし。
Amazonで1件だけ、「慢性肝炎が治ったから療法食をやめてモグワンに替えた」とのコメントがありましたが、食いつきの話題だけでほかにはなし。
これだけ探して1件も見つからないということは、
「肝臓が悪いワンちゃんのオーナーには、モグワンは選ばれていないのではないか」
という推測ができます。
それもそのはず、肝臓病にかかっているワンちゃんならすでに動物病院で診察を受けているはず。
食事について相談された獣医師は、病気とわかっているのなら、ふつうは肝臓ケア系の療法食を勧めますよね。
まさか獣医師の口から「肝臓病におすすめのフードはモグワン!」なんて言葉が出てくるわけがありません。
モグワンは一般の総合栄養食で、病気に配慮した療法食ではないのですから。
ということで、肝臓病の犬にモグワンを食べさせた口コミは見当たりませんでした。
モグワンは肝臓に悪い?悪影響のある危険な原材料・成分を調査
「モグワンって肝臓に悪い成分が含まれてるの?」
と疑問に思ったので、肝臓に悪影響のある危険な原材料・成分があるかどうか調査しました。
結論からいうと、健康なワンちゃんの肝臓の数値を悪化させるような原材料は見当たりません。
ただし、病状や犬種によってはタンパク質・脂質・銅などを制限すべき場面が出てきます。
チキン&サーモン56% (チキン生肉21%、生サーモン12%、 乾燥チキン12%、乾燥サーモン7%、チキングレイビー2%、サーモンオイル2%) 、サツマイモ、エンドウ豆、レンズ豆、ひよこ豆、ビール酵母、アルファルファ、ミネラル類 (硫酸第一鉄水和物、硫酸亜鉛一水和物、硫酸マンガン一水和物、硫酸銅(II)五水和物、無水ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD、 ビタミンE)、ココナッツオイル、バナナ、リンゴ、海藻、クランベリー、カボチャ、カモミール、マリーゴールド、セイヨウタンポポ、トマト、ショウガ、アスパラガス、パパイヤ、 グルコサミン、メチルスルフォニルメタン(MSM)、コンドロイチン、乳酸菌
タンパク質 27%以上
脂質 10%以上
粗繊維 4.75%以下
灰分 9%以下
水分 9%以下
NFE 39%
オメガ3脂肪酸 1.18%
オメガ6脂肪酸 1.63%
リン 1.06%
カルシウム 1.40%
エネルギー(100gあたり) 363kcal
ちなみに塩分は肝臓ではなく腎臓病や心臓病で気にすべき成分です。
塩分はナトリウム量で表されますが、ナトリウム量が表記されているドッグフードは見当たりません。
モグワンの高タンパクは肝臓に悪い?
モグワンはタンパク質27%と一般のドッグフードの中では高タンパクな部類です。
では高タンパクなモグワンは肝臓に悪いのか?
答えは「肝臓病の種類による」です。
アンモニアに由来する症状が出ていればやめたほうがいいし、出ていなければむしろ必要です。
タンパク質は代謝される過程でアンモニアが発生します。
健康な肝臓ではこのアンモニアを解毒できますが、肝機能が低下している場合、充分に解毒できなかったアンモニアが血中に混ざり、高アンモニア血症になってしまうことがあります。
その結果、肝性脳症を引き起こし、元気消失・ふらつき・痙攣・昏睡などが現れ、最悪の場合は死に至ります。
ロイヤルカナン肝臓ケアやヒルズi/dなどの肝臓ケア療法食は、タンパク質を10%台に抑えています。
高アンモニア血症も含めた肝臓系の幅広い疾患に対応するため、このような栄養配分になっています。
これは健康な犬であれば足りない量なので、ワンちゃんが高アンモニア血症のことを気にしないでいいレベルなら、望ましくありません。
ということで、アンモニアに由来する症状が出ていればモグワンはNG、出ていなければ食べても問題ないといえます。
アンモニアの発生を軽減する発酵性食物繊維は少ない
食物繊維の中でも、腸内で発酵して善玉菌の栄養になる「発酵性食物繊維」はその発酵過程で腸内を酸性にするはたらきがあり、アルカリ性であるアンモニアの発生が少なくなります。
発酵性食物繊維が多く含まれる食材は、大麦・大豆・ブロッコリー・ゴボウなどです。
モグワンにはこれらの食材が含まれておらず、発酵性食物繊維は含まれていないか、含まれていてもごく微量であると考えられます。
モグワンのカロリーと脂質は肝臓に悪い?
モグワンは363kcal、脂質は10%以上。
カロリーは標準的で、脂質は平均よりやや少なめです。
「オイルコーティングをしていません」といった記載がないため、おそらくサーモンオイルでコーティングをしているとみられます。
「脂質の多い食事は肝臓に悪い」
たしかに肝臓は脂質代謝にかかわっているため、大量の脂質は肝臓に負担をかけるというのは事実です。
しかし、これも制限するかどうかはタンパク質の例と同じで、肝臓病の種類によります。
肝リピドーシスや、脂質代謝がうまくいかない病気を併発している場合は、低脂肪食を与える必要があるため、脂質10%以下のドッグフードが選ばれます。
脂質を制限すべき病気の例:
・高脂血症
・胆管閉塞
・膵炎
・膵外分泌不全
・クッシング症候群
・胆汁うっ滞
・胆泥症
・胆石症
など
場合によっては逆のケースもあります。
たとえばタンパク質制限をする場合、足りないエネルギーは脂質と炭水化物で補うしかありません。そうなると脂質の量は増加させる必要があります。
脂肪は1gあたり9kcalと、あらゆる栄養素の中で最も高いエネルギー量を持っている優秀なエネルギー源です。
極端な制限をしてカロリー不足に陥ってしまっては治るものも治りません。
まとめると、モグワンの脂質とカロリーが肝臓に悪いかどうかは「肝臓病の種類による」でした。
モグワンの銅が肝臓に悪影響を及ぼす犬種
・ベドリントンテリア
・ウエストハイランドホワイトテリア
・ドーベルマン
・コッカースパニエル
・ダルメシアン
・ラブラドールレトリバー
など一部の犬種は、遺伝的に生まれつき銅の代謝が苦手です。
そのため、きちんと銅を排出することができず体内にたまってしまい、「銅蓄積性肝障害」になってしまうことがあります。
特にベドリントンテリアは25%が銅代謝障害ともいわれるほど高確率で発症します。
モグワンの成分表示には銅の量は表示されていませんが、原材料には「硫酸銅(II)五水和物」の表記があり、AAFCOの規定量の銅を配合していることがうかがえます。
そのため、銅代謝が苦手な犬種はモグワンを避けた方が無難です。
モグワンの添加物は肝臓に悪影響はない
モグワンの添加物はビタミンやミネラルのみで、BHAやBHTなどの酸化防止剤、人工保存料、着色料、香料などは使用していません。
近年の日本でドッグフードに含まれる添加物によって肝臓に被害を負ったという事例はありません。
添加物で問題になるのは肝臓ではなくアレルギーが一般的です。
アレルギー症状は皮膚の赤みやかゆみ、涙量の増加、下痢、嘔吐といった、体表または消化器系の症状が出るのがふつうで、肝臓で何かを引き起こした例は聞きません。
そのため、添加物は肝臓病の要因にならないとみてよいでしょう。
モグワンで肝臓の数値が悪化したときの対処法
万が一モグワンで肝臓の数値が悪化したときの対処法は、自分でドッグフードを選ばないことです。
獣医師に相談の上、獣医師の紹介する療法食に切り替えましょう。
本記事でも繰り返し述べていますが、肝臓疾患はその種類によって制限すべき栄養素が異なります。
そのため、ひとくくりに「肝臓病にはこのフードがおすすめ!」とは言えません。
そもそもフードが肝臓病の原因になるのは、よほど高カロリーの食事を与え続けて肥満になるなどした場合ぐらいで、ほかに原因があることが多いです。
モグワンは高タンパクではありますが、それ以外の栄養素は標準的なので、常日頃から食べ過ぎてさえいなければ、肝臓病の原因になることは考えにくいです。
肝臓病の原因:
・薬の副作用
・感染症(レプトスピラ症)
・先天性門脈シャント
(血管の奇形により解毒すべき血液が肝臓に入らない病気)
・門脈低形成
・慢性肝炎
・胆泥症、胆のう粘液嚢腫
・がん
・反応性肝障害
など
いずれにせよ定期健診による早期の発見と、適切な治療が必要です。