犬の膵炎の食事は低脂肪。症状・原因・治療まとめ

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犬の膵炎の食事管理は低脂肪

膵炎を発症したワンちゃんの食事で最も気を付けることは、低脂肪食にすることです。

高脂肪食を与えると、体内で膵液の分泌を促すCCKという物質が大量に出され、過剰な膵液が食べ物でなく膵臓自身を消化する「自己消化」という現象が起こるためです。

膵炎の時は、高脂肪食は絶対に食べてはいけないものであることを肝に銘じておきましょう。

脂肪の質にもこだわるべきです。

脂肪は空気に触れたり高温処理すると酸化する性質があります。

酸化した脂肪を摂取すると体に毒になりますので、酸化していないもの、更にはオメガ3脂肪酸などの良質な脂肪を与えるようにしましょう。

また、膵炎のときは嘔吐や腹痛により食欲がなくなりますが、食事を全く摂らないより摂った方が膵炎の治りが良いことが分かっていますので、吐き気止めを併用して食事を摂らせます。

どうしても口から食事を摂りたがらないワンちゃんには、流動状にしたものをシリンジで強制給餌することもあります。

低脂肪食は、肝臓病や甲状腺機能低下症においても有用です。

脂肪が多い食事は肝臓に負担がかかりますし、甲状腺機能が低下している場合は脂質代謝に異常があるため、脂肪の低い食事を与えるのです。

更に、食事の回数を増やし1回の食事量を減らすことで、膵臓への負担を軽くすることができます。

腎不全(腎臓病)との併発を考えて高タンパクは避ける

膵炎を患ったワンちゃんは腎不全を併発している場合があります。

そのため低脂肪に加え、腎臓にも負担がかからない高タンパクを避けた食事にするべきです。

タンパク質は体内で代謝された際に老廃物を産生します。

この老廃物を含む血液は腎臓でろ過され、正常であれば老廃物は尿として体内から出ていきます。

しかし、腎臓の働きが弱くなった状態ではこの老廃物を体外へ排出する機能が弱くなるため、うまく排出できずに体内に老廃物が貯まってしまいます。

この状態が続くと尿毒症という命にかかわる状態になります。

タンパク質はエネルギー源になったり体を作るのに重要な栄養素の一つですが、摂りすぎると腎臓に負担がかかってしまうため、腎臓病を患うワンちゃんは、高タンパクの食事を避けるべきなのです。

関連記事:犬の腎臓病フードはどれがいい?

糖尿病との併発を考えて高GIの炭水化物を避ける

膵炎を患ったワンちゃんは糖尿病を併発している場合があります。

そのため低脂肪に加え、高GI値の炭水化物を避けた食事を与えてあげましょう。

GI値はGlycemic Indexの略で炭水化物が消化されて糖に変化し血糖値が上昇するスピードを、ブドウ糖を基準に相対的に表したものです。

つまり、血糖値を上げやすいものはGI値が高く、血糖値を上げにくいものはGI値が低いということです。

膵臓からは、細胞に血中の糖を取り込ませ血糖値を下げる働きをするインスリンが分泌されますが、膵炎によってインスリンが十分に分泌されないと、細胞に取り込まれるはずの糖が血中に漂い続け、高血糖状態になります。

高血糖状態は体に害を及ぼし命に関わる危険性もあることから、糖尿病のワンちゃんには、GI値が低く血糖値の上げにくい炭水化物を摂取させるべきなのです。

具体的には、大麦や玄米といった穀類や食物繊維を豊富に含むイモ類は、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。

関連記事:犬の糖尿病の食事

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犬の膵炎の食事例


膵炎に負担をかけないためには、低脂肪で消化がよいタンパク質含を含み、更に糖質の少ない食事が基本となります。

タンパク源としては、低脂肪で高タンパクな鶏肉、鹿肉、馬肉が推奨されます。

脂肪は高温で調理したり空気に触れると酸化し、体にとって有害なものになってしまいますので、手作りする場合は、低温調理し、作ったものは早めに食べてもらうようにしましょう。

低脂肪を心がけると、量増しのために炭水化物を多くしてしまいがちですが、炭水化物の多給も膵臓に負担をかけてしまいます。

炭水化物は糖に分解されますので、砂糖や精米のような高GIのものは血糖値を急激に上昇させてしまい、血糖値を下げるインスリン分泌を促進させます。

インスリンは膵臓から分泌されるため、高GIの食べ物は膵臓に負担が大きいのです。

よって、炭水化物は、ゆっくり消化される玄米や食物繊維の多いイモ類を使用するとよいでしょう。

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膵炎の犬用手作り食事レシピ例①

低脂肪で高タンパクな馬肉を使ったレシピを紹介します。

材料は、馬肉80g、ほうれん草:20g、発酵キノコ10g、しじみ:90g、ブロッコリー:30g、じゃがいも:80g、キヌア:大さじ1、鰹節:小さじ1、めかぶ:小さじ1です。

作り方は、まず、食材を細かく切ります。

キヌアは水50gと共に耐熱容器に入れ、500Wで6分加熱します。

鍋にシジミを入れてしばらく煮込み、しじみの出汁が出たらシジミを取り出します。

この出汁で、細かく切った食材を煮込んだら完成です。

キヌアはスーパーフードとして知られていますが、他の穀物と比較してタンパク質やミネラル、食物繊維を豊富に含んでおり、血糖値を上げにくい食材です。

めかぶは、豊富な食物繊維、ヨウ素、ビタミン類を含みます。

食物繊維は腸内環境を整えてくれるため重要な成分ですが、犬は食物繊維を消化しづらいため、与えすぎは禁物です。

膵炎の犬用手作り食事レシピ例②

低脂肪で高タンパクな鶏むね肉を使ったレシピを紹介します。

材料は、鶏むね肉(皮なし):100g、鶏卵1個、昆布:1g、じゃがいも:中1個、野菜類:合計100gまで、オメガ3濃縮魚油:2カプセルです。

卵と魚油以外を細かく刻み、煮込みます。

具材が柔らかくなったら卵を加え、一煮立ちさせてから火を止めます。

粗熱を取ったら、魚油を入れ、良くかき混ぜたら完成です。

ちなみにオメガ3濃縮魚油は人用のサプリメントでカプセルになっていますので、カプセルを開けて中の粉を混ぜましょう。

オメガ3脂肪酸は、必須脂肪酸と言われ、体の中で合成できないために外から補給しなければならない脂肪酸です。

また脂肪と言っても、オメガ3脂肪酸は膵臓の消化酵素を出させる刺激にならないため、膵炎のときの食事では、オメガ3脂肪酸を積極的に摂ることが推奨されています。

オメガ3脂肪酸の働きとして、血管の健康を保つ他に抗炎症作用があるため、膵臓の炎症を抑えてくれるよう働きかけてくれる役割も果たします。

膵炎の犬用ドッグフードの選び方

犬用の食事を手作りで継続して作るのは大変で根気のいる作業です。

せっかく作っても食べてくれない場合もあります。

また、手作りのものは栄養バランスがきちんとなっているか正直分かりません。

現在は様々な療法食が市販されており、栄養を考えた上にワンちゃんが食べてくれるよう工夫された療法食がたくさんあります。

普通のドッグフードと比較するとやはり金額は高いですが、手作りにこだわらず市販されているものを併用するなどすると、飼い主さんの気持ちも楽になるでしょう。

膵炎のワンちゃんのドッグフードの選び方の基本は、やはり低脂肪のものです。

世界的な大手ペットフード会社の製品では、例えばRoyal caninの「消化器サポート低脂肪」、Hillsの「I&d low fat」があります。

世界的な有名企業であるだけに、しっかりとした研究のもとで開発され、品質管理も徹底されていますので安心して使用することができます。

また最近では国産のもので、品質や素材、無添加にこだわったものが多数発売されています。

例えば「みらいのドッグフード~膵臓用~」では、低脂肪な鹿肉を使用し、良質な脂肪であるオメガ3脂肪酸を配合、免疫に大きく影響する腸内環境改善のために漢方が配合されており、膵炎の療法食としておすすめできます。

他にも「犬心~糖・脂コントロール」など様々なドッグフードがありますので、膵炎の場合には低脂肪でオメガ3脂肪酸を含み、消化性がよく良質な素材を使用して消化機能に負担をかけないドッグフードを選んであげましょう。

犬心 糖&脂コントロール

膵炎用ドッグフードの例として「犬心 糖&脂コントロール」を紹介します。

「犬心 糖&脂コントロール」は膵炎だけでなく併発しやすい7疾患を同時にケアできる療法食です。

併発しやすい7疾患
・膵炎
・クッシング症候群
・甲状腺機能低下症
・高脂血症
・糖尿病
・胆泥症・胆嚢粘液嚢腫
・メタボ・肥満

低糖質&低脂肪で、なおかつ総合栄養食の基準を満たしているため、難しい栄養バランスはおまかせでOK。

自然そのまま製法で、原料ごとに個別に丁寧に調理されています。

ノンオイルコーティングなので脂が酸化して害を与える心配はありません。

保存料や酸化防止剤などの余計な添加物は使っていないので、敏感なワンちゃんも安心。

犬心公式サイトでサンプルも用意されています。

関連記事:犬心の口コミ

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犬の膵炎とは?


膵臓の役割は大きく二つあります。

一つ目は膵液を分泌し食べ物を消化すること、二つ目はインスリンやグルカゴン、ソマトスタチンといったホルモンを分泌することで血糖値を調整することです。

犬の膵炎の原因は、主に前者の膵液分泌に関する異常により引き起こされます。

膵液とは膵臓で作られる消化液で、炭水化物を分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼ、他に核酸を分解する酵素を含みます。

この中のトリプシンですが、膵臓内ではトリプシノーゲンという不活性化状態であり、正常ならば十二指腸に分泌されてトリプシンと活性化状態になり十二指腸で初めて働きだします。

更に活性化したトリプシンにより他の酵素は働き出すため、通常では膵臓内でこれらの酵素が働くことはありません。

しかしなんらかの異常により膵臓内でトリプシンとなり活性化すると、膵臓自身を消化する自己消化という状態になります。

自己消化されると膵臓は傷つき、膵炎を起こします。

炎症は膵臓だけに留まらず近くにある肝臓や消化管にも波及します。

また重症化して免疫機能にも異常を起こし血液凝固系が破綻すると、血栓があちこちにでき、血栓が微小血管を塞ぐことで他の臓器に血液が行かなくなり、多臓器不全の状態になります。

参考:ダクタリ動物病院-犬の膵炎

急性膵炎

急性膵炎は、中~高年齢の犬で多い傾向にあり、1歳未満の発症は殆ど認められません。

また、膵炎には急性と慢性がありますが、犬の膵炎の殆どは急性膵炎です。

原因として多いのが人間の食べ物の盗食で、急な激しい嘔吐や食欲不振、腹痛、下痢が認められます。

重症化すると、膵臓以外にも肝臓、腎臓など他臓器も機能不全になりショック状態に陥ることがある危険な病気です。

嘔吐や下痢といった症状から消化管の病気を疑って、自己判断で家で安静にさせておこうと思う飼い主さんもいますが、急性膵炎を発症すると命に関わる危険性もあることから、早期の診断・治療が重要となります。

自己判断せず、早めに獣医師さんに相談するようにしてください。

慢性膵炎

慢性膵炎は、急性膵炎を繰り返した場合や、膵臓が長期にわたって糖尿病など他の疾患の影響を受けた場合になります。

犬ではほとんど認められず、猫での報告が多いです。

急性膵炎のように激しい症状が起こるわけではないため、膵臓が侵されていることに気づかない場合もありますが、慢性膵炎が進行し、85%以上の膵臓の機能が失われると、膵外分泌不全に陥ります。

膵外分泌不全では、膵臓の膵液を分泌する機能が弱くなることで消化酵素不足となり、消化不良を起こします。

膵外分泌不全に陥ると、たくさん食べるのに痩せていきます。

ここまで膵臓が侵されると膵臓の回復は難しく、生涯にわたって膵酵素剤の給与し、消化を助けてあげることが必要になります。

参考:宮崎大学農学部獣医学科-慢性膵炎と診断された飼い主様へ

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犬の膵炎の症状

ダックス
犬の膵炎の症状として、激しい嘔吐や食欲不振、腹痛が挙げられます。

嘔吐は何度も繰り返され、水を飲んだだけでも吐きます。

胃の中が空っぽになっても吐き続けるため、胃液や胆汁の混ざった白や黄色の液体を吐くこともがあります。

十二指腸に炎症が波及すると、下痢や腸出血を起こすことに起因する血便の症状が見られることもあります。

また犬がお腹を痛がる場合の特長として、「祈りのポーズ」を示すことがあります。

これは上半身を伏せて腕を伸ばし腰を上げる姿勢のことで、この姿勢でじっとしている場合は、強い腹痛を感じている可能性があります。

この姿勢をしていなくても、膵炎による腹痛は右上腹部を押さえると顕著になることが多く、抱っこしたりお腹を触られるのを嫌がることでお腹が痛いのだと飼い主さんは気が付くことができます。

更に重症化すると免疫機能も障害を受けます。

むやみやたらに血液を凝固させることで血栓形成が促進され、細い血管に血栓が詰まると臓器に血液が上手く循環しなくなり膵臓以外の臓器も障害を受けます。

こうなると、黄疸や尿毒症、凝固障害、全身性ショックなど様々な症状が認められ、命に関わる危険な状態になってしまいます。

犬の膵炎の原因

犬の膵炎の原因は具体的に特定することは難しいですが、誘発因子として次のようなものが挙げられます。

脂肪を多く含む食事の多給、腹部の打撲や外科手術における膵臓の損傷、肥満そのものや肥満になるような食生活、シニアであること、膵管閉塞による膵液の膵臓への逆流などです。

また、感染症やクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)などの内分泌疾患が引き金となって発症することもあります。

クッシング症候群では、コルチゾールの過剰分泌により食欲が増し、人間の食べ物の盗食してしまうことで膵炎が発症します。

更に遺伝的に膵炎を起こしやすいと言われる犬種として、ミニチュアシュナウザー・ヨークシャーテリア・コッカースパニエル・コリー・ボクサーが挙げられます。

これらの犬種を飼われている場合は膵炎にかかりやすいことを理解し、日常生活において膵炎の原因になるようなことを避けるよう注意しましょう。

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犬の膵炎の検査方法・診断

動物病院
犬の膵炎の検査及び診断方法は、「血液検査」、「超音波検査」、「画像診断」の3つです。

血液検査では病状の進行具合にもよりますが、白血球数の増加、C反応性タンパク(CRP)、尿素窒素(BUN)、クレアチニン、グルコース濃度の増加、アルブミン、カルシウム濃度の減少、総ビリルビン濃度の増加、ALTやALPといった肝酵素の上昇が認められます。

しかしこれらを示しているからと言って膵炎と決定することはできません。

血液の中の血清という成分を用いた血清学的検査にて最も有用なのはPLIで、これは膵特異的リパーゼを感度良く測定する方法です。

超音波検査では、腫大した膵臓を観察することができます。

CTによる画像診断は、犬では全身麻酔が必要な場合もあるため容易にできるものではありませんが、膵臓の腫大や壊死を検出することができます。

特に膵臓が壊死している場合は前述のPLIは正常値を示すため膵炎を除外してしまう可能性があり、CTによる画像診断は重要だと言えます。

症状とこれらの検査を総合して、膵炎の診断を実施します。

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犬の膵炎の治療法

2018年に急性膵炎に対する唯一の治療薬「ブレンダZ」が発売されました。

この薬と合わせて対症療法を行います。

急性膵炎では発症後できるだけ早く治療を開始しなければ、命に関わる危険もあります。

治療方法は、入院させて輸液、制吐剤や鎮痛剤の投与を行います。

輸液は嘔吐や下痢による脱水を防ぐだけでなく、大量に産生された炎症細胞を洗い流すことによって膵臓の自己消化を食い止める働きや異常な血栓形成を抑制する働きがあります。

また、壊死した膵臓が二次的に細菌感染を起こす場合があるため、抗生剤を投与することもあります。

慢性膵炎の治療法も急性膵炎と基本的に同じで、輸液、制吐、疼痛管理を行います。

症状によって入院下での治療が必要になりますが、通院で済むこともあります。

また蛋白分解酵素阻害剤を使用することもあります。

食事療法

膵炎になった場合の食事の基本は低脂肪食です。

急性膵炎では、以前は24~72時間の絶飲絶食が推奨されていましたが、現在は早期に経腸栄養を実施した方が、回復が早いと言われています。

口から食べることが難しい場合は輸液に栄養を混ぜて静脈から投与する方法や、腸にチューブを設置しそこから流動食を流すことによって栄養を与えることもあります。

回復後も、獣医師の支持のもと家で低脂肪食を続けます。

せっかく低脂肪食の食事に切り替えてもおやつやミルクを与える飼い主さんがいますが、それでは膵臓へ負担がかかり回復に時間がかかりますのでやめましょう。

低脂肪の療法食は販売していますが、なかにはアレルギーで食べられないワンちゃんもいます。

その場合は低脂肪食を手作りする必要がありますが、必ず獣医師の指導のもとで行うようにしましょう。

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犬の膵炎の予防方法

膵炎を予防するには、日頃からの食事管理及び体重管理が重要となります。

人間の食べ物は、基本的に味が濃く匂いも強いことから欲しがるワンちゃんも多いですが、ワンちゃんの体にとっていいことはありません。

人間の食べ物は与えないようにしましょう。

また、高脂肪のおやつを継続的に与えるのもよくありません。

ドッグフードにもよりますが、基本的に食事だけで栄養を満たすことはできますので、おやつを与えるとカロリ過多となり肥満になってしまいます。

肥満は膵炎だけでなく様々な病気を引き起こしますので、適正な体重を維持できるよう努めてください。

犬の膵炎は、決して珍しい病気ではありません。

しかし中には命に関わる場合もありますので、しっかりと予防することが重要です。

参考文献:関内どうぶつクリニック-急性膵炎の食事

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