キャバリアで後悔?飼うのが難しいポイント
垂れ耳とうるうるした大きな瞳が可愛らしいキャバリアは、フレンドリーで人懐っこいことが特徴の小型犬です。
スキンシップを好み、誰に対しても愛想が良いため、八方美人では?と言われることもありますが、その愛情深く穏やかな性格から「理想の家庭犬」とも呼ばれている犬です。
争いごとを嫌い攻撃性もないため、小さな子どもがいる家庭でも、子どもと一緒に仲良く過ごすことができます。
そのような特徴から、キャバリアは他の犬種と比べても飼いやすい犬種とも言えます。
一方で、遺伝的に心臓病にかかりやすい面があるため、飼い主がしっかり体調管理をしてあげる必要があり、その面では、苦労する可能性もあります。
ここでは、そのような特徴があるキャバリアを飼うにあたってのポイントを、それぞれ解説してきます。
①寂しがり屋で留守番がニガテ
キャバリアは、人懐っこくフレンドリーで穏やかな犬種なため、争い事を好みません。
そのため、攻撃性を見せて頻繁に吠えるようなこともないため、マンションやアパートのような集合住宅でも飼いやすい犬と言うことができます。
一方で、そのフレンドリーな性格ゆえに寂しがり屋でもあるため、長時間の留守番が苦手な傾向があります。
特にオスの方が甘えん坊であると言われています。
長時間の留守番が続くとキャバリアにとってはストレスになり、普段は近隣に迷惑をかけるような無駄吠えはしないのに、寂しさがストレスになると遠吠えをしてしまうことがあります。
そのため、留守番させる必要がある家庭で飼う場合、子犬の頃からの訓練が必要になります。
基本的には、留守番に不向きな犬種と理解しておいた方がよいでしょう。
②体臭がきつい場合がある
キャバリアは、他の犬種に比べ皮脂が過剰分泌するため、体臭が強くなることがあります。
皮脂が過剰に分泌している際は、被毛に少しベタつきがあり、被毛が皮膚に這うようにペタンとなりがちです。
月に1、2度シャンプーをしたり、散歩の後にペット用の除菌・消臭剤などを使用することで、体臭対策をすることができます。
それでも改善しない場合は、ドッグフードを変えたり、屋外でしっかり運動をし、自然光を浴びることで基礎代謝を上げるようにしましょう。
悪化すると、湿疹が出るなど皮膚症状が起きることがあるので注意が必要です。
また、キャバリアは垂れ耳で耳の中が蒸れるため、耳垢によって臭いを発することもあります。
こまめに耳のお手入れをしてあげることが大切です。
③心臓病になりやすく突然死の可能性も
キャバリアは、交配して生まれてきた犬種のため病気になりやすく、遺伝的にも「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」という心臓病になりやすい傾向があります。
この病気は、心臓の左心房と左心室の間にある「僧帽弁」が伸びてしまったり、その形状に異常が起きることから、血液に逆流が起き、正常に血液を送り出すことができなくなる病気です。
6歳以上の6割のキャバリアがこの病気にかかっていると言われており、早い犬では生後1~2年の間に発症してしまうこともあります。
そのため、キャバリアを飼う場合は定期的に健康診断を受けることが大切です。
また、発症してしまうと、治療を受ける必要が出るため、病院通いが多くなる犬種であることをしっかり理解しておく必要があります。
キャバリアの性格は悪くない。優しく穏やか
キャバリアはどのような性格なのでしょうか?
キャバリアは、愛情深く穏やかで優しい性格の犬種のため、子犬の時から比較的おとなしく、無駄吠えや噛みつきの少ない犬です。
また、人懐っこく攻撃性も持たないため、家庭に小さな子どもがいる場合は、仲良く寄り添いながら根気強く子どもの相手をしてくれます。
協調性が高く寛容でもあるため、活発な子どもに対しても吠えて怒ったりすることなく、一緒に過ごしてくれるのです。
そのような性格なため、散歩も走りまわって、他の犬や子どもたちと追いかけっこをするより、いろんな物の臭いを嗅いだりしながら屋外を散策するようなスタイルを好みます。
そのような穏やかな性格の良さが、「理想の家庭犬」とも言われるゆえんです。
多頭飼いするとキャバリアに辛い思いをさせることも
キャバリアは、穏やかで愛情深くフレンドリーな性格で、人や他の犬とも打ち解けやすいため、他の犬と一緒に多頭飼いすることもできる犬種です。
しかし、犬同士の相性も大切なので、仲良くできそうな相性の合う犬を選ぶことが大切です。
同じキャバリア同士だと良い関係が築きやすいですが、もう一匹の方が、攻撃性が強かったり独占欲が強かったりする犬種だと、キャバリアに対して強い態度を見せることもあります。
そのような犬であると、キャバリアが先住犬であっても押されてしまい、辛い思いをしてしまうことがあります。
そのため、多頭飼いする際は先住犬を優先することが大切です。
犬の中には序列があるため、先住犬に先にご飯を与えるなど、飼い主がしっかり序列を崩さずに示すことが大切です。
キャバリアは斜視になりやすい?
キャバリアは、斜視になりやすい犬種だとされています。
キャバリア同様、パグやチワワのように目が突き出ている犬種は斜視になりやい傾向があり、キャバリアもパグに比べると少な目ではありますが、先天的に斜視になることがあります。
また、後天的な理由から斜視になることもあり、それには少し注意が必要です。後天的に斜視になる場合は、高血圧が原因の場合が考えられるためです。
高血圧を引き起こしている病気にかかっていることや、アレルギーによる痒みから高血圧になっていることなどが考えられます。
生まれつきの斜視には大きな問題はありませんが、「最近斜視が気になってきた」といった場合は、病気の疑いもあるため獣医による診断を受けるようにしましょう。
キャバリアを飼っている芸能人・有名人
高貴で優雅なたたずまいの可愛らしいキャバリアは、たくさんの芸能人にも愛されている犬です。
華やかな芸能人と並ぶとさらに可愛く見えるキャバリア。
ここでは、キャバリアを飼っていることで知られている芸能人を紹介します。
小芝風花(女優)
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女優の小芝風花さんは、祖父母が「小太郎くん」という名前のキャバリアを飼っているため、時々会いに行くようです。
インスタグラムにも黒い被毛の垂れ耳が可愛い小太郎くんと小芝さんが楽しく遊んでいる動画が投稿されています。
倖田來未(アーティスト)
歌手の倖田來未さんもかつて「ラム」という名前のキャバリアを飼っていたことで知られています。
残念ながら、心臓病で亡くなってしまったようですが、倖田さんのプロモーションビデオにも愛犬の「ラムちゃん」が一緒に出ていたことから、キャバリアを飼っていることが知られるようになりました。
参考:倖田來未公式サイト
武井咲(女優)
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女優の武井咲さんもキャバリアの「Teeちゃん」を飼っていることで知られており、時々インスタグラムでも紹介されています。
Teeちゃんは、武井さんが結婚前から飼っていた愛犬で、結婚後の現在も旦那さんやお子さんと一緒に住み続けているようです。
キャバリアの後悔・失敗しないしつけ方
キャバリアは穏やかで人懐っこくフレンドリーな犬種なため、他の犬種に比べるとしつけがしやすい犬と言われています。
また、飼い主に対しても従順で、攻撃性を持たないため、基本的には無駄吠えや噛み癖が少なく飼いやすい犬です。
しかし、そうは言っても、子犬の時からのしつけは大切です。
トイレや留守番、「待て」や「おすわり」の指示など、一通り、小さい頃に根気強くしつけておくことが大切です。
最初のしつけがしっかりできていると、その後は、飼い主と良好な関係を築きながら、周囲に迷惑をかけずに飼うことができる犬となります。
ここでは、キャバリアを飼うにあたってのしつけ方のポイント、子犬のうちに身につけておくべき点などについて解説していきます。
①基本はほめて伸ばす。叱るときは短く
どんな犬も同じですが、キャバリアのしつけも褒めて伸ばしてあげることが、とても大切です。
飼い主が感情的になって怒ったり、長くお説教をしたりしてしまうことはしつけにおいては逆効果です。
飼い主にしっかり注目させ、一つひとつの指示が聞けたら、しっかり褒めてあげるようにしましょう。
褒めてもらえると、それが嬉しいこととなって、それらの行動が習慣化されていきます。
どうしても叱らないといけないような悪さをした場合は、短く簡潔に「ダメ!」などの言葉で叱るようにしましょう。
一度に複数の指示を出したり、長々とダメなことを注意しても犬は理解しづらいため、指示も注意も短いものにし、メリハリをつけてわかりやすく伝えることがポイントです。
②小さいうちから留守番に慣れさせておく
キャバリアは、人懐っこく愛情深い犬種であるがゆえに、寂しがり屋で留守番が苦手です。
「理想の家庭犬」と呼ばれるくらいに、人が好きで、基本的に家族と一緒に過ごすことを好む犬種のため、一人になると寂しさがストレスとなり、問題行動を起こしてしまうこともあります。
飼い主と離れることがストレスになると、飼い主が出かけようとすると、落ち着きなくソワソワしたり、体調を崩して吐いてしまうなどといった「分離不安」の症状を見せるようになる犬もいます。
これは、飼い主に対する依存が強まっている状態です。
分離不安にならないためにも、留守番の必要がある家庭でキャバリアを飼う場合は、子犬の頃から、留守番をする訓練をし、一人で留守番する時間に慣れさせておくことが必要になります。
③動物病院は早めに経験させておく
キャバリアは、残念ながら遺伝的に高確率で心臓病になりやすいことがわかっている犬種なため、他の犬種に比べ動物病院にお世話になったり治療を受けたりする可能性が高い犬です。
そのため、子犬の頃から定期健康診断等で動物病院に連れて行き、早めに動物病院を経験し、飼い主ではない獣医に体を触られるのにも慣れておいた方がいいでしょう。
動物病院や獣医師を怖いものだと感じてしまうと、今後も病院に行くことをストレスに感じたり、行きたがらないという様子を見せるようになることもあります。
病気になりやすい犬種でもあるので、病気の早期発見のためにも、子犬の頃から定期的に動物病院に連れて行き、獣医に診察を受ける習慣をつけておくとよいでしょう。
キャバリアの特徴:歴史・値段・寿命
キャバリアの正式犬種名称は「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」です。
キャバリアは、その名前にも含まれているように、イギリスの王チャールズ1世、2世に古くから愛されてきた歴史のある、イギリス王室とも深い関係を持つイギリス生まれの小型犬です。
ここでは、そのような高貴な背景を持つキャバリアがイギリスで誕生した歴史や、飼い始めるにあたっての値段の相場、平均的な寿命など、キャバリアの特徴について解説します。
歴史
キャバリアはイギリス生まれの犬で、イギリス王室では、王族や貴族の愛玩犬として、古くから様々な犬種が飼育されてきました。
その中に、チャールズ1世2世に長く愛されてきたキング・チャールズ・スパニエルという犬がいて、当時はコッカー・スパニエルとよく似た外見でした。
19世紀になり、それに東洋犬のパグやチンなどを交配させた、鼻の短い外見のキング・チャールズ・スパニエルが誕生し、流行するようになりました。
しかしその後、チャールズ王の肖像画を見て、チャールズ王が飼っていた当時のスタイルの犬種を復活させようということになり、戻し交配が行われた結果生まれたのが「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」です。
現代では、その穏やかで人懐っこい性格から、キャバリアは「理想の家庭犬」と呼ばれるようになりました。
子犬の値段相場
キャバリアを家に迎え入れるにあたっては、ペットショップ、ブリーダー、里親の3つの方法があります。
里親の場合は、飼育できなくなった元の飼い主から譲り受け里親になったり、保護犬の里親になると言う点から購入費用は発生しません。
一方、ペットショップやブリーダーで購入する場合の平均価格は15万~25万と言われています。
「ブレンハイム」という白と茶色のカラーキャバリアの人気が高いため、ブレンハイムは若干高値になる傾向があります。
里親募集など子犬を譲ってもらえるところはある?
ペットショップやブリーダーからの購入のみではなく、「里親募集」のホームページを通じて、キャバリアの引き取りが可能な場合もあります。
動物愛護団体や法人により、飼育不可能となり保護された犬やブリーダーの繁殖引退犬が、里親募集として紹介されており、その中にキャバリアがいることもあります。
そのような背景のため、子犬ではなく、すでに成犬になっている場合も多いですが、しっかり向かい合う気持ちがある飼い主さんであれば里親募集を利用するのも一つの手段です。
購入費用ではなく、譲渡費用が必要で、その中にはワクチン接種費や検査費などが含まれています。
平均寿命
キャバリアの平均寿命は、およそ12年と言われています。
健康なキャバリアであれば14年近く長生きできることもありますが、病気や健康状態によっては10年に満たない場合もあります。
キャバリアの遺伝疾患である「僧帽弁閉鎖不全症」を発病しやすいことから、短命になる犬もいます。
キャバリアの飼い方
「理想の家庭犬」と呼ばれるほどに、穏やかで人懐っこく、しつけもしやすく飼いやすいとされているキャバリアですが、その一方で、遺伝的に心臓病になりやすいため、細やかな体調管理が必要など、飼い方に難しさを抱える犬種でもあります。
キャバリアを長く健康的に育てていくにあたって必要なポイントはどのようなことでしょうか?
ここでは、キャバリアを飼うにあたって、飼い主がしっかり理解しておくべき飼い方のポイントについて説明します。
トリミングは不要
キャバリアは、カットの必要なトリミング犬種ではないため、トリミングの必要はありません。
トリミングとは、ハサミやバリカンを使ってきれいに被毛をカットして整えることを言います。
キャバリアは、被毛の生え変わりがあるのみで、ある一定の長さからそれ以上は伸びないため、カットしなくてもよい犬種です。
一方、トリミング犬種とは別にグルーミング犬種があり、グルーミング犬種の場合は、全身の被毛をブラッシングしてケアすることの方が大切になります。
キャバリアは、このグルーミング犬種にあたるため、日頃からブラッシングをしてあげることが大切です。
基本的にはトリミングの必要のないキャバリアですが、部分的に長い飾り毛が生えている場所もあるため、衛生面や見た目を考えて、トリミングする飼い主の方もいます。
抜け毛が多くブラッシングは毎日必要
キャバリアは、オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の両方を持つダブルコートの犬種です。
ダブルコートの犬は春と秋にアンダーコートが生え変わるため、換毛期であるその時期になると毛がたくさん抜け、絡まりやすくなります。
そのため、美しい被毛の状態を保つためには毎日のブラッシングが必要となります。
キャバリアはトリミング犬種ではなく、ブラッシングでのお手入れが大切になる「グルーミング犬種」です。
毛玉や抜け毛を取り除いたり、毛のもつれをほどいたりする「スリッカーブラシ」で余計なアンダーコートを取り除いた後に、「ピンブラシ」や「コーム」で毛並みを整えます。
毎日のブラッシングを習慣づけ、美しい被毛をキープしてあげるようにしましょう。
シャンプーは月1回程度
キャバリアのシャンプーは、月1回を目安にするようにしましょう。
シャンプーを多くしすぎると、逆に皮膚病を招くこともあるので、適度な回数であることが大切です。
キャバリアは抜け毛の多い犬種であるため、シャンプー前にブラッシングで抜け毛を取り除いておく方がよいでしょう。
キャバリアは垂れ耳のため、シャンプーの水分が耳に残るとそれが蒸れ、外耳炎につながることがあります。
耳の中に水が入らないよう気をつけながらシャンプーをしてあげましょう。
散歩時間の目安
キャバリアは、鳥猟犬が祖先の犬のため、身体を動かすことが大好きな犬です。
そのため、一日あたりの散歩量は、一日2回、1回につき30分程度の運動、距離で言うと1~2kmの散歩が理想的とされています。
キャバリアは肥満になると、ヘルニアになってしまう危険性もあるため、体調管理とストレス発散のためにも毎日の散歩が大切です。
好奇心旺盛で、散歩中も様々なものに興味を示すため、リードは短めに握って歩いた方が安心です。
空調管理必須。暑さにも寒さにも弱い
キャバリアが、快適に過ごいやすい室内温度は、23~25度と言われています。
一般的に犬の体温は38度前後で人間より高く、また、全身を被毛で覆われているため、人間より寒さに強いと言われています。
しかし、キャバリアは小型犬で身体が小さいため、体熱の保温機能が低く、中型・大型犬に比べると寒さへの耐性が低い傾向があります。
また、室内飼育されることが一般的な犬種なため、寒さへの耐性が低下しているという側面もあります。
そのため、寒がるときには、服を着せてあげたり、暖房をつけてあげるなど、人間同様温かくしてあげることが大切です。
同様に、夏の暑さも苦手でバテてしまいやすい傾向にもあります。暑さ対策として冷房を入れて快適な温度を保ってあげることも大切です。
キャバリアのかかりやすい病気
キャバリアは、遺伝的に命に関わる心臓病になるリスクが高い犬として知られているため、飼い主も、飼う前からそれをしっかり理解して飼い始める必要がある犬種です。
そのため、病気を発症したら、高い金額の治療費がかかることも、念頭においておく必要があります。
そして、飼い始めたら、子犬の頃から定期的に健康診断に連れて行くことが大切です。
愛犬の日々の健康状態を観察し、健康管理に努めることが、キャバリアの飼い主の役目になることを理解しておきましょう。
僧帽弁閉鎖不全症
キャバリアは心臓病の発症率が高く、「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」という心臓病になりやすい犬種です。
この病気は、血液循環のコントロールをする心臓の左心房と左心室の間にある「僧帽弁」の異常のために、血液に逆流が起き、正常に血液を送り出すことができなくなる病気です。
心臓だけではなく、肺にも負担がかかり、症状が進むと呼吸困難になることもあります。
また、残念ながら早くに命を落としてしまうこともあります。
キャバリアは遺伝的要素から高リスクでこの病気を発症する可能性が高く、6歳以上の6割のキャバリアがこの病気にかかっているとも言われています。
そのため、キャバリアを飼うにあたっては、その事実をしっかり踏まえた上で飼うことを決める必要があります。
外耳炎
外耳炎とは、耳介から鼓膜までの部分の皮膚に炎症が起きる病気です。
キャバリアのような垂れ耳の犬は、その構造的な原因から外耳炎になりやすいと言われています。
垂れ耳であると、耳道内の通気性が悪くなり、細菌や真菌を増殖しやすくなるためです。
外耳炎になると、炎症で痒みが起きるため、後ろ足で頻繁に耳を掻いたり、頭を振ったりするようなしぐさを多く見せるようになります。
耳の中が炎症で真っ赤になり、掻きむしりで出血をすることもあります。
また、耳垢や耳介や耳の穴に緑色の膿が付着し、耳から悪臭がすることもあります。
外耳炎のような症状が見られたら、獣医の診察を受けるようにしましょう。
耳道内の洗浄や、点耳薬などの治療を受けることとなります。
乾性角結膜炎
キャバリアは、乾性角結膜炎という眼疾患にもなりやすい犬種です。
乾性角結膜炎とは、涙の量や質が低下することでドライアイが起こる病気です。
乾性角結膜炎の代表的な症状は、目の表面の角膜の乾きと、粘り気のあるめやにです。
軽度の頃はめやにはそれほど見られず、目をこすりがちだったり、白目が赤くなっている様子から始まります。症状が進み重度になると、角膜が黒くなる色素沈着が見られることもあります。
乾性角結膜炎には明確な予防法はないため、白目が赤くなっているなど、気になる症状が見られたら早めに病院に連れて行くことが大切です。
人間のドライアイとは違い、犬のこの病気の場合、免疫の異常から発症していることもあるため、病院でしっかり診察してもらうようにしましょう。
白内障
キャバリアは、乾性角結膜炎と並び、眼の疾患として「白内障」にもなりやすいと言われています。
目の水晶体がだんだん白くなり、視力が低下していく病気です。
白内障は人間にも加齢と共に起こりやすい病気であるように、犬も多くの場合は高齢になると発症します。
初期の頃は目立った症状は見られませんが、白内障の症状が進行すると、眼が白くなっていったり、歩いていると物にぶつかりやすくなるなどの症状が見られるようになります。
そうすると、ケガをしやすくなるなど、二次的な問題も起きてしまいます。
進行が進むと手術という手段もありますが、高齢であると、身体への負担も大きくなります。
早めに発見できると、点鼻薬で進行を遅らせることもできるので、気になる症状が見られたら早めに病院に連れていくしょうにしましょう。
短頭種気道症候群
キャバリアは、今のスタイルのキャバリアになるまでの交配の歴史の中で、パグのような、いわゆる「鼻ぺちゃ」と言われる短頭種と交配され、マズル(口のまわりから鼻先にかけての部分)が短い姿であった時期がありました。
そのため、現在の姿になってからも、短頭種の犬種がなりやい「短頭種気道症候群」になりやすい傾向があります。
短頭種気道症候群とは、外鼻腔狭窄、軟口蓋過長症など、複数の呼吸器疾患の総称です。
気道が極端に狭くなることで発症し、初期の頃は「グーグー」といったいびきのような呼吸音が安静時にも聞こえるようになります。
症状が進むと呼吸困難を起こすこともあるため、適切な治療が必要です。
治療には、ステロイド剤による内科治療や軟口蓋切除や外鼻腔を拡張する外科手術などがあります。
脊髄空洞症
「脊髄空洞症」も、キャバリアが気をつけるべき病気の一つです。
脊髄の中に空洞ができ、その中に液体が溜まることで脊髄を圧迫し、様々な神経症状が現れる病気です。
脊髄空洞症の症状には、首の痛みや、それに伴い、抱き上げられるのを嫌がったり首や体を掻くといった様子が見られます。
軽度では、知覚過敏を起こすなど、飼い主に伝わりにくい症状を見せる犬もいますが、重度になると、足の麻痺など明らかな症状を見せるようになります。
脊髄空洞症に明らかな予防手段はないので、気になる様子が見られた時は早めに病院に連れて行って検査を受けることが大切です。
治療は、痛みや症状の進行を和らげるためにステロイドや鎮痛剤を投与することになります。
他の神経疾患を併発していたり、進行が進んでしまうと、外科手術が必要になることもあります。
まとめ:キャバリアは初心者向きで飼いやすい
キャバリアは、イギリス生まれの高貴な外見をした可愛らしい小型犬なため、多くの愛犬家の芸能人・有名人にも愛されている犬種です。
性格が穏やかで人懐っこく、誰に対してもフレンドリーで、家庭に子どもがいる場合子どもとも仲良くしてくれるため、「理想の家庭犬」と呼ばれる犬です。
交配して生まれてきた歴史から、遺伝的に心臓疾患になる確率が高いというリスクがあるため、定期的に健診を受けさせ、飼い主が適切な体調管理をしてあげる必要があります。
しかし、攻撃性もなく無駄吠えや噛み癖もなく、他犬種に比べしつけもしやすいため、初心者でも飼いやすい犬と言うことができます。
愛情深い性格の犬なので、体調管理をしながら、飼い主もしっかり愛情をかけて育ててあげるとよいでしょう。