ビーグルは性格がやんちゃすぎて手に負えない?
アメリカの漫画「PEANUTS(ピーナッツ)」でおなじみスヌーピーの犬種でもあるビーグル。
大きな垂れ耳とクリクリな目が特徴的ですよね。
しかし、見た目とは裏腹に、もともと猟犬ということもあり、非常に活発で運動量が多い犬種。
さらに、他の犬種よりも噛み癖や吠え癖があり、しつけに苦戦する飼い主さんもたくさんいます。
吠え声にいたっては「森のトランペッター」ともいわれる声量で、小さな体にも関わらず、非常に大きな声で吠えるため、ご近所さんとの騒音トラブルになるケースも…。
また、穴掘りも大好きなので、ソファーや庭など掘って掘って掘りまくることもあるため、家具や庭を破壊することもあります。
そんなやんちゃの原因は、もともとの犬種ならではの気質のみではありません。
原因①運動量が足りずストレスが溜まっている
ビーグルは、猟犬として長時間、山の中を走り回ることができる体力を持つ犬種です。
ドッグランでそのままにしておいたら、休むこともなく平気で1、2時間動き続けているほどのスタミナの持ち主。
それだけの持久力と体力があるのですから、運動量が足りていないとストレスが溜まってしまいます。
有り余るエネルギーを発散させてあげないと、家の中で大はしゃぎしたり、ストレスから吠えたり噛んだりの問題行動を繰り返す原因になってしまうのです。
人間からしたら、おうち遊びも散歩も同じ運動のように感じますが、
・散歩はビーグルにとっては大好きな匂い嗅ぎができて、本能を満たせるもの
・ドッグランで駆け回るのは有り余る体力の発散
など、犬にとっては全く別の意味がある行為。
しっかり疲れさせて、ストレスを溜めることのない飼い方をしてあげましょう。
原因②上下関係ができていない
ビーグルは猟犬ということもあり、本来は群れや飼い主さんとの連携を大事にする犬種ですから、人のいうことをしっかりと聞こうとする習性があります。
しかし、それはあくまで上下関係がハッキリしているからできること。
やんちゃやいたずらはしても、本来は愛情深く甘えん坊な性格です。
その甘えん坊ゆえに甘やかしすぎてしまったり、あまりのやんちゃぶりにお手上げ状態で叱らずにいたりすると、犬自身も「自分の方が上!自分が群れを引っ張らないと!」と考えてしまいます。
特にビーグルは少し頑固なところがあり、自分の要求がかなうまで吠え続けたり抵抗し続けたりすることもあるので、飼い主さんには忍耐力が必要です。
甘えられると、かわいくてどうしても許してしまいがちですが、叱るときはしっかり叱り、
・飼い主さんの方が上なんだということ
・自分の思うようにはならないときもあること
を覚えさせていないと、やんちゃがエスカレートする原因になってしまいます。
しっかりアイコンタクトを取らせ、飼い主さんの指示を聞ける関係性を築きましょう。
原因③落ち着く年齢に達していない
一般的に、犬は3歳頃から落ち着いてくるといわれています。
犬にとって3歳という年齢は、発達がある程度完了する年齢。
人間でいうと30歳前後とされているのですが、人間もそうですよね。
ある程度ひと通り経験した世代で、自分らしさ・自分の生き方がわかってくるお年頃。
そうなるまでは色んな経験をします。
それと同様に犬も3歳までは、自分で思うように動いて失敗したり、楽しい気持ちを経験したりしながら成長していくのです。
ですから、ビーグルに限らず、3歳までは手がかかる子も多いわけで、これは致し方ないこと。
特にビーグルは走る、掘る、噛む、吠えるという猟犬ならではの気質もあり、かつ興奮しやすい気質があるため、なかなか簡単には落ち着いてくれません。
ビーグルに関しては3歳でもまだまだ落ち着かない子も多く、5歳までは落ち着かない…なんて言われることも…。
もちろん個体差はあり、その子自身の性格もあるので、必ず3歳というわけではありませんが、落ち着きが出るまでは飼い主さんも気長に見守る心構えも必要です。
ビーグルのしつけは難しいのか
先ほど少し触れたように、ビーグルは人とのつながりを大事にする性格ですし、もともと聡明で人の指示を聞くのが好きな犬種ですから、しつけが難しい犬種というわけではありません。
上下関係が板についていて、運動も十分させてあげてさえいれば、こちらの言うことを聞き取ろうとする仕草も見られ、むしろ、しつけは入りやすい犬種といえます。
しつけに関しては、ビーグルは好奇心旺盛な性格なので、社会化期にたくさんの経験をさせてあげるようにしましょう。
温厚でフレンドリーな性格で、基本的にどんな犬種とも仲良くできるため、ドッグランなどでたくさんのお友達と遊ばせながら、運動量も満たしてあげるようにすると一石二鳥ですね。
また、食欲旺盛なビーグルは太りやすいことでも有名ですが、逆にその習性を活かして、しつけの際はおやつを使って教えてあげると、覚えも早くなる傾向があります。
もちろん、おやつで食べた分は、与えるエサの量を減らすなどして、体重管理には十分気をつけてくださいね。
ビーグルの飼いやすさは?初心者には不向き?
体力がある方であれば、ビーグルは初心者にも飼いやすい犬種です。
もともと丈夫で、かかりやすい病気もそれほど多くないため、健康面の意味でも、太り過ぎないようにさえ気をつけていれば、安心して飼うことができます。
また、社交的でどんな人・犬種とも上手に付き合える性格ですから、多頭飼いを考えている方にもおすすめです。
もちろん犬同士にも相性がありますし、犬の性格もみんなバラバラですので、他の犬や人に会わせる時は、少し慎重にみてあげるようにしましょう。
ただ、運動量がある上に底知れぬ持久力とパワーもあるビーグル。
引っ張る力も強く、興味があるものを見つけると、突然猛スピードで方向転換をすることもあります。
あまりの力に大人も転けてしまうほどのパワーがあるので、お伝えしているように、「ビーグルを飼う=体力勝負」という一面があることは、意識しておいてください。
しっかりしつけさえできていれば、甘えん坊で元気な家族の一員として、ムードメーカーになってくれますよ。
ビーグルの特徴
ビーグルの一番の特徴といえば長く大きな垂れ耳と、長いしっぽの先の毛だけ真っ白になっていること。
ちょっとした豆知識ですが、しっぽの先の毛色が白いのは、猟の際に「ここにいるよ!」というのを伝えるための目印なんですよ。
そしてみなさん、黒・白・淡い茶色(タン)の3色のトライカラー(ハウンドカラー)のビーグルに見慣れているでしょうが、実際には他の毛色のビーグルもいます。
メインの毛色は以下3つ。(※他にもレアカラーな子もいます)
トライカラー (ハウンドカラー) |
・黒・白・茶色の3色
・獣猟犬に多い毛色 |
レッド&ホワイト |
・赤み(オレンジ)系の明るい茶色と白の2色
・黒が入っていないため温厚な印象がある |
レモン&ホワイト (レモンカラー) |
・かなり淡く薄めの茶色と白の2色
・厳密にはレッド&ホワイトの一種 |
見た目が穏やかに見えることから、最近ではレッド&ホワイトやレモンカラーの毛色の子の人気が高まってきているんですよ。
また、性格や気質の特徴は、これまで少し触れたように
・フレンドリーであまり人見知りはしない
・甘えん坊で寂しがり屋な一面があり留守番が苦手
・聡明で人の指示を聞くのが好き
・好奇心旺盛、興奮しやすい
・食欲旺盛で太りやすい
などがあります。
では、ここからはビーグルの特徴をもっと詳しく確認してみましょう!
歴史
ビーグルは狩猟犬として活躍していた犬種で、その中でも「嗅覚ハウンド」と呼ばれる部類に該当します。
特にビーグルは、他の犬よりもダントツに嗅覚が優れている犬種。
そのため、獲物を追いかけて捕まえる役割というよりも、獲物の匂いをかぎ分けて、
・獲物に吠えて立ち向かい追い込む
・ハンターに獲物の場所を知らせる
・ハンターが落とした獲物を見つけてくる
などの能力に長けているのです。
こういった習性があるため、噛み癖や吠え癖があり、興奮すると手に負えなくなってしまうこともあるのもいたし方ないこと。
むしろ、本来の習性を考えれば、噛むのも吠えるのも狩猟犬としては、優秀な証でもあるんです。
また、最近ではその優れた嗅覚を活かして、空港の荷物検査などの任務を負っている子もいます。
しつけがしっかりできれば、人間と共存しやすい犬種ということですね。
大きさ・体重
ビーグルの大きさや体重は、一般的には成犬で7キロから15キロ、体高も30センチから40センチと、かなり適性範囲が広い犬種です。
ビーグルのサイズは個体差で出やすく、小さめで小型犬サイズの子もいれば、大きめの子の場合、10キロ以上になり中型犬とみなされるサイズになる子もいます。
さらに、ビーグルの場合、「イギリスタイプ」と「アメリカタイプ」がいて、見た目や性格などにさほど誤差はないものの、体型に若干の誤差がでる傾向も!
由来 | 特徴 | |
イギリスタイプ | ・原産国であるイギリス型 | ・しっぽが細長い ・体格も大きめ |
アメリカタイプ | ・アメリカで改良されたアメリカ型 ・バセットハウンドに近い |
・しっぽが短く太い ・足が短く小さめ |
また、一般的に、犬のオスはメスよりも少し大きめになることが多くありますし、子犬の頃は小さめだった子でも、1歳を迎える頃にはかなり大きくなることもありますしね。
平均幅が広いだけに、「平均体重の枠には収まっているから大丈夫」なんて安心していると、体高に見合わない体重で肥満になっている可能性もあるので、体重管理はしっかりしてあげてください。
子犬の値段
ビーグルの子犬の値段相場は、およそ18万円から33万円です。
ただしお伝えしたとおり、最近ではレモンカラーのビーグルが人気になりつつあるため、レモンカラーの子の場合は、少し金額も高くなる傾向があります。
最近では、ペットショップで購入する際に、その子犬の父母の情報が開示されていることが多いので、大きくなりすぎることを心配される方は、父犬母犬のサイズも参考にしてみてください。
また、親犬の病歴の有無や血統、ブリーダーから買うかペットショップで買うかによっても、金額は変わってきます。
平均寿命
平均寿命は12歳から15歳です。
しかし、犬の寿命は
・先天性なトラブルの有無
・後天的な病気の有無
・普段の食事
・日頃の運動量
・ストレスの有無
などによっても変化します。
特に食欲旺盛なビーグルは、肥満傾向が強い犬種です。
肥満は犬の病気リスクを上げてしまう原因にもなりますので、運動と食事については飼い主さんがしっかり管理してあげましょう。
また、狩猟犬として人と行動を共にするのが大好きで甘えん坊なビーグルは、寂しがり屋でひとりの時間・留守番が苦手です。
長時間ひとりになる生活をしていると、強いストレスを感じてしまい、分離不安になってしまう子もいますし、言うまでもなくそのストレスは寿命にも影響を与えることがあります。
飼い方には注意してくださいね。
お手入れはトリミング不要・ブラッシング必須
ビーグルは短毛種なので、トリミングは必要ありませんし、匂いもあまりない犬種ですので、シャンプーも月に1回程度で構いません。
しかし、「短毛だからお手入れが簡単そう!」と思われがちですが、ダブルコートな上に、短毛だからこそ生え変わるサイクルが早いため、抜け毛量はかなり多め…。
しかも、被毛自体は撫でると滑らかでツヤもあるのですが、1本1本は意外としっかりしていて硬めです。
そのため、衣類や持ち物、ソファーや寝具などにその抜け毛が刺さってしまうと、簡単には取れずチクチクして、飼い主さんのストレスになってしまうこともあります。
週に1回(できれば2、3日に1回)散歩から帰ったらブラッシングをする習慣をつけておくとよいでしょう。
それだけでも、幾分は飼い主さんの掃除の負担やチクチクのストレスも減らすことができますよ。
散歩時間
散歩は少なくとも1日朝夕の2回、それぞれ30分以上必要ですし、散歩が好きな子の場合、1時間以上でも平気で歩いてしまいます。
ビーグルは猟犬として、獲物を見つけるために山の中を駆け回る体力を持ち合わせているため、相当な運動量をこなしていないと満たされません。
定期的にドッグランなどで思い切り走らせてあげるなど、工夫をしてあげるようにしましょう。
また、長時間の散歩をする場合には、
・毎日同じルートではなくルートを変えてあげる
・淡々と歩くだけではなく、たまに走ったり止まらせたりして、強弱をつける
などをして、犬にも変化のある散歩をしてあげるのがおすすめですよ。
かかりやすい病気
ビーグルは他の犬種と比べると、丈夫で強い方ではありますが、かかりやすい病気・病気リスクがゼロというわけではありません。
運動量の多さゆえ、大きな垂れ耳ゆえのかかりやすい病気もあります。
日頃の適切なケア、体を触って変化がないかのボディーチェックやスキンシップなどで、愛犬の変化に早めに気づけるようにしておきましょう。
そのためには、かかりやすい病気を知っておくことも重要です。
具体的にどういった病気があるのか、詳しくみていきましょう。
椎間板ヘルニア
ビーグルは椎間板ヘルニアになりやすい犬種です。
原因は複数あり、
・遺伝的な原因(軟骨異栄養犬種:先天的に手足が短く生まれる疾患を負いやすい犬種のこと)
・老化
・飛んだり跳ねたりの激しい運動
などにより、椎間板が突出して脊髄周りの神経を圧迫してしまいます。
特にビーグルの場合、興奮しやすいことや運動量の多さから、「飛んだり跳ねたりの激しい運動」が原因で椎間板ヘルニアになるリスクが高い上に、軟骨異栄養犬種に該当する犬種なので、遺伝的な原因も絡んでいるので十分に注意が必要です。
・急に歩けなくなる
・背中や腰回りを触ると痛がる、嫌がる
・歩きたがらない
・足元がふらつく
普段の生活で、足腰の負担がある動作は極力避けるようにしてあげましょう。
・階段の昇り降りはなるべくさせないようにする
・ジャンプをさせないようにする
・引っ張り癖をやめさせる
・体重の管理
など、飼い主さんができる椎間板ヘルニアの予防対策もあります。
手術となってしまうと、リハビリも必要になる病気ですので、くれぐれも注意してくださいね。
外耳炎
大きな垂れ耳ゆえにかかりやすい病気もあります。
それは外耳炎。
垂れ耳ですので、耳の中の通気性が悪くなり蒸れてしまい、細菌が繁殖しやすい状態になってしまうこともありますし、アレルギーやノミダニの寄生などによって、外耳炎になるケースもあります。
・しきりに頭を左右に振る
・耳を足で掻こうとする
・耳から異臭がする
・耳の内側が赤くなる
週に1回は愛犬の耳のチェックをしてあげるようにしましょう。
湿気の多い時期には、外耳炎の症状が悪化しやすい傾向があるので、いつもより念入りなチェックを心掛けるとなおよしです!
ただ、あまりに耳のケアの頻度を多くしてしまうと、かえって外耳炎の症状を悪化させる危険もあるので、心配な場合は、動物病院でチェックしてもらうようにしてくださいね。
白内障
ビーグルは白内障にも注意が必要です。
目の水晶体が白く濁ってしまい、目が見えなくなってしまう大変危険な病気ですが、早期発見と早期対応ができれば、完治は難しいとはいえ内科的な対処法(目薬や服薬)で進行を和らげることはできます。
外科手術の対応もできなくはないのですが、難しい手術なので、迷う飼い主さんが多いものです。
また、白内障は糖尿病を発症すると、併発されやすい傾向がある病気なのですが、なんと、ビーグルは糖尿病にもかかりやすい犬種。
つまり、白内障にならないように、糖尿病にも注意が必要です。
補足までにご紹介しておきますが、ビーグルがかかりやすい目の疾患は、白内障以外にもあります。
病名 | 症状や特徴 |
緑内障 |
・白目が赤く充血する、瞳孔が開く。
・完治はできず、点眼薬などで進行を遅らせる対処を取る |
チェリーアイ |
・瞼から粘膜が飛び出してしまう
・2歳までになりやすい先天性の病気ですが完治可能です |
他にもアレルギーなどで、流涙症になる子もいますし、毎日、目の周りのチェックをしてあげるようにしてください。
参考:阿部動物病院-白内障
ビーグルは外飼いor室内飼い?
ビーグルは暑さにも寒さにも強い方なので、「外飼いも大丈夫」といわれることがあります。
外飼いも可能は可能ですが、基本的には室内飼いをしてあげる方が望ましいです。
というのも、日本は湿度が高い国。
ビーグルは湿度には弱く、また湿度は先ほどご紹介した外耳炎の天敵でもあります。
また、あまり知られていませんが、ビーグルは水があるエリアで生活していなかったこともあり、個体差はあるのですが水遊びが好きではありません。
そのため、雨が苦手な子も多いもの。
ただ、どうしても室内で飼えない場合に関しては、
・ワクチン接種、狂犬病接種が済んでいること
・あまり吠えないようしつけができていること
・フィラリアの予防対策がしっかりできていること
という前提で、外飼いも可能な犬種です。
・犬小屋を用意して雨風をしのげるようにする
・犬小屋は風通しの良い場所に設置する
・寒い時期には毛布を用意してあげる
暑さや寒さをしのげる環境を作ってあげるようにしましょう。
いくら暑さ・寒さに強いとはいっても、ある程度快適に過ごせるように努め、雪の日や寒さがきつい日などは、室内に入れてあげるようにはしておきたいところです。
雪遊びが好きな子もいますが、長時間雪の降る中にいると、お腹の調子を崩してしまうこともありますので、外にいる愛犬の様子も気に掛けるようにしてあげましょう。
まとめ:ビーグルを飼って後悔しないために
韓国では、あまりに大きな吠え声やよく吠えるビーグルが「悪魔犬」なんて呼ばれることもあるのですが、
・吠え癖
・噛み癖
・興奮癖
などをやめさせるトレーニングやしつけと、まて、おすわり、伏せなどの一般的なしつけさえしっかりできていれば、申し分ない家族の一員になってくれます。
運動量については、愛犬との散歩や遊びを一緒に楽しむ気持ちだけで、十分やっていけますし、わんぱくさと甘えん坊の程よい加減がビーグルのよさだと気づけることでしょう。
最初、慣れるまで・落ち着くまでは、大変なのはどんな犬種でも起こりうることですから、ビーグルの活発さに気負いし過ぎる必要はありません。
しつけと、運動・体重・食事管理、これだけはしっかりして、ペットのいる暮らしを楽しんでくださいね!