犬のクッシング症候群の末期症状と余命は?初期症状や治療についても解説

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犬のクッシング症候群の末期症状

引用元:【クッシング症候群の高齢犬】愛犬ジョンティの物語①

クッシング症候群は、副腎から分泌されるコルチゾールが多量に分泌される病気です。

治療方法はあるのですが、完治することは少なく、ほとんどの症例で一生治療を続けていくことになります。

その治療費が高額なため、治療を諦めざるを得ない場合があることも事実です。

クッシング症候群の末期症状として、

・他の病気にかかりやすくなる
・血糖値が高くなる
・筋力が落ちる
・血栓ができて脳障害が起こりやすくなる
・神経症状

などが挙げられます。

これらの症状について、これから詳しくみていきましょう。

①免疫が抑制され他の病気にかかりやすくなる

末期になると、免疫が抑制されるために他の病気にかかりやすくなります。

これは、コルチゾールがステロイドと同じ免疫抑制機能を持っているためです。

元気なときであれば、ちょっと体の中に病原体が入ったとしても免疫のおかげで無症状のまま病原体は体外に排出されます。

しかし、免疫が抑制されると、少し病原体に暴露されただけでも、感染症を発症してしまうのです。

例えば、皮膚のちょっとしたひっかき傷から皮膚炎が重症化することもあります。

また、パラインフルエンザウイルスによる風邪などの感染症にかかりやすくなり、重症化すると肺炎を起こすこともあります。

②血糖値が高くなる

副腎から分泌されるコルチゾールは、「タンパク質を分解して糖分を生成し、血糖値を上げる」働きがあります。

異常にコルチゾールが分泌されることによりこの働きが強く生じると、血糖値が異常に高くなります。

血糖値が高くなると、病原体と戦ってくれる白血球のパワーが落ち、抗体が生成されにくくなることで免疫力が落ちます。

また、動脈硬化を引き起こし細い血管の流れが悪くなるため、細胞に酸素や栄養が届きにくくなり細胞の働きが悪くなります。

更に血流が悪いと、薬を飲んでも薬が目的の場所まで行き届かないため、薬が効きにくくなります。

つまり、血糖値が高い状態が続くと免疫力が落ち、細胞の働きも悪くなり、更に薬を摂取しても最大限の効果を見込むことができなくなるのです。

③筋力が低下して体に力が入らなくなる

クッシング症候群の末期では、血糖値が高くなることは先述したとおりです。

血糖値が高くなると、動脈硬化による神経細胞への血流不足により神経細胞が変性し、神経障害が起こります。

神経は、脳からの指令を末端に伝えたり、逆に末端の刺激を脳に伝える働きをします。

よって、神経に障害が起こると、体を思うように動かすことができなくなります。

体に力が入らず筋肉を使わなくなることで筋力が低下し、最悪自力で動くことができなくなります。

④血栓ができて脳障害を起こしやすい

普段血管の中で血液が凝固することはありませんが、クッシング症候群では、血液が凝固する機能が高まります。

すると、血管の中でも血栓という血の塊ができやすくなります。

体の中心を走るような太い血管であれば血栓ができても血流が滞ることはありませんが、末端にいくにつれて血管は細くなります。

そして脳の細い血管に血栓が詰まると、脳障害を起こします。

これは、人間でいう脳梗塞の状態です。

人間と同じく、この状態は命の危険があります。

⑤神経症状

クッシング症候群の原因は後述するように、脳の下垂体が腫瘍化する場合と副腎が腫瘍化する場合があります。

犬のクッシング症候群の9割が、下垂体腫瘍が原因です。

脳は頭蓋骨に囲まれた狭い空間の中に存在するため、下垂体が腫瘍化し大きくなると、脳の他の部分が圧迫されて神経症状がでます。

例えば、目の神経が圧迫されると視覚障害が出ます。

他にも、脳の圧迫される部位によって、

・旋回運動
・鬱
・夜鳴き
・徘徊

などの症状が出てくることもあります。

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犬がクッシング症候群を発症したときの余命

クッシング症候群を発症したからといって、すぐに亡くなるわけではありません。

犬の状態や飼育環境、病気の進行具合によって余命は様々です。

また、治療をしたからといって寿命を全うできるとも限らず、中には治療中に急死してしまう場合もあります。

薬物療法が一般的ですが、薬は生涯飲み続ける必要があり、また薬の効果を確かめるために定期的に検査をしなければならず、クッシング症候群の治療は本当に根気のいるものです。

家でできることは食事療法です。

食事に気を付けることで、症状の緩和や二次的に発症する病気を予防する効果が期待できます。

ドッグフードの例:犬心 糖&脂コントロール

「犬心 糖&脂コントロール」は高血糖と高脂血を食事でサポートし、クッシング症候群だけでなく、併発しやすい7疾患を同時にケアする療法食です。

併発しやすい7疾患:
・クッシング症候群
・甲状腺機能低下症
・胆泥症・胆嚢粘液嚢腫
・膵炎
・高脂血症
・糖尿病
・メタボ・肥満

血糖値が上がりやすい糖質を除去し、糖の吸収をおさえる食物繊維をバランスよく配合しています。

また、粗脂肪率5~9%とドッグフードの中ではかなり低脂肪な部類で、オメガ3脂肪酸を含む良質な脂肪を使用しています。

さらに、乳酸菌配合で腸の健康もケア。

犬心公式サイトで詳細な情報が確認できます。

関連記事:犬心の口コミ

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犬のクッシング症候群の初期症状

引用元:侮ってはいけない!クッシング病

クッシング症候群になると、次のような初期症状が見られます。

・多飲多尿
・食欲増進
・皮膚が薄くなる、脱毛などの皮膚症状
・呼吸が早くなる
・お腹が膨れる
・散歩に行きたがらない

クッシング症候群はホルモンの異常であり、治療しないと自然に完治することはありません。

よってこれらの症状が続く場合は、検査することをおすすめします。

しかしこの病気は、検査費用や治療費が高いにもかかわらず、多くの場合は一生治療を必要とします。

このため、治療を諦めざるを得ない場合もありますが、食事療法など、家でできることはあります。

信頼のおける獣医師に相談してみましょう。

①多飲多尿

クッシング症候群では、9割の犬で多飲多尿が見られます。

犬は24時間で体重1kgあたり100cc以上の水を飲むと多飲と診断します。

ただし、ドライフードかウェットフードかの違いでも水分摂取量は変わってきますので、一概に体重1kgあたり100cc以上とは言えません。

また犬では、24時間あたり45~50mL/kg以上の場合を多尿と診断します。

クッシング症候群では頻繁に排尿行動をとるようになります。

また尿比重は、犬では1.030以上が正常ですが、クッシング症候群では1.030以下を示す例が多数います。

参考:小笠原動物病院-多飲多尿

②食欲が増える

多飲多尿と同じくらい、クッシング症候群の犬では食欲増進が認められます。

クッシング症候群の犬はお腹が膨らんでいますが、これは体の中心部に脂肪がつき、四肢は細いという特徴的な太り方をするためです。

クッシング症候群では、過剰に産生されたコルチゾールの働きで上がった血糖値を下げようと、インスリンが分泌されます。

インスリンは、血糖値を下げるためにグルコースをグリコーゲンや脂肪に変換します。

一方コルチゾールは、この逆の働きをするため、グリコーゲンや脂肪からグルコースを生成することで血糖値を上昇させます。

コルチゾールとインスリンは、体の中心部ではコルチゾールが強く働くため、脂肪が付きやすくなり、末端部ではインスリンが強く働くため、脂肪が落ち細くなります。

③皮膚症状(脱毛・皮膚の黒ずみ・皮膚が薄くなる・感染症)

クッシング症候群では、

・左右対称性の脱毛
・皮膚の黒ずみ
・皮膚が薄くなる
・感染症による皮膚炎

といった皮膚症状が認められます。

特に左右対称性に脱毛するのは、犬の脱毛症の中でもクッシング症候群に特徴的な症状です。

また、高齢になると皮膚は薄くなるものですが、クッシング症候群では紙切れのようにペラペラに薄い皮膚になります。

免疫が落ちる上に皮膚のバリアが弱まることで、より感染症にかかりやすくなり、ちょっとした傷であっても重い皮膚炎になることもあります。

④呼吸が早くなる

パンティングとは、口を開けて「ハアハア」とするピッチの早い呼吸のことです。

犬は全身を被毛で覆われており、人間と違って体全体で汗をかくことができません。

そのため体の熱を下げるためには、口を開き口の中の水分を蒸発させて熱を放出させます。

このようにパンティングは、通常暑くて気温が上がったときに行いますが、他にも、ストレスや痛みを感じているときにパンティングすることもあります。

更に、心疾患や呼吸器疾患、クッシング症候群、ステロイド投与の副作用としてパンティングをすることもあります。

クッシング症候群は、ステロイドと同じ働きをするコルチゾールというホルモンの過剰分泌が原因であり、この病気の初期に、とくにパンティングがよく見られると言われています。

⑤お腹が膨れる

クッシング症候群では食欲が増進することから、食べ過ぎてお腹が膨れていると思われがちですが、そうではありません。

この病気は、機能亢進して大きく腫大した副腎からコルチゾールが多量に分泌されます。

また病気の影響で、体の中心部は特に脂肪がつきやすくなります。

よって、腫大した副腎と脂肪により、お腹が膨れるのです。

肥満は、体全体に脂肪がつきますので、背骨を触れた際に、肥満であれば骨には触れません。

しかし、病気でお腹が膨れている場合は、もともと太っている犬でなければ背骨に触れることができますので、肥満との鑑別は可能です。

お腹が膨れる疾患として、クッシング症候群の他には、

・腹水
・腹腔内腫瘍
・悪性リンパ腫
・腸閉塞
・胃拡張・捻転症候群
・子宮蓄膿症
・寄生虫症

が考えられます。

ただちに治療が必要な疾患もありますので、早めに獣医師に相談するようにしましょう。

⑥散歩に行きたがらない

散歩に行きたがらない原因として、次のようなことが考えられます。

・関節や骨、筋肉の異常があり、動くと体のどこかで痛みを感じる
・心臓疾患や呼吸器疾患により息苦しさを感じる
・感染症やその他の病気により動くのがつらい
・精神的な問題

クッシング症候群では、神経細胞が変性し神経障害が起こることで、筋肉が動かしにくくなります。

動かさないと筋肉は落ちてしまい、足腰が弱ることで余計に散歩に行きたがらないという悪循環に陥ります。

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犬のクッシング症候群とは?原因

クッシング症候群は、副腎皮質機能亢進症ともいいます。

腎臓の隣にある副腎皮質からは、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが分泌され、生体の恒常性を保っています。

コルチゾールの働きは、

・タンパク質を分解し、グリコーゲンにすることで血糖値を上げる
・脂肪の分解を促進しエネルギー源とする
・インスリンの働きを阻害する
・炎症反応や免疫反応を抑制する
・交感神経を刺激し血圧を上げる

などがあります。

クッシング症候群は、このコルチゾール分泌が異常に亢進する病気ですので、これらの作用が大きくなり症状として現れてきます。

クッシング症候群の原因ははっきりとは分かっていませんが、高齢な犬でなりやすいと言われています。

①下垂体性クッシング症候群

コルチゾールは、脳の下垂体から分泌されるACTHにより分泌が促進されます。

そして過剰のコルチゾールはACTH分泌を抑制するため、結果的にコルチゾール分泌も抑えられることになります。

そのため、コルチゾール分泌には、下垂体と副腎が関わっているわけですが、そのどちらかに異常が起こった場合に、クッシング症候群は発症します。

犬のクッシング症候群の約9割は、下垂体腫瘍による下垂体性クッシング症候群です。

下垂体が腫瘍化することで、ACTHの分泌が亢進し、結果としてコルチゾールが分泌し続けます。

これは5歳以上でオスよりもメスでやや多い傾向があります。

②副腎腫瘍

犬のクッシング症候群の約9割は下垂体性によるものだとお話しましたが、残り1割は副腎腫瘍によるものです。

下垂体は正常であるため、過剰なコルチゾールにより下垂体からのACTH分泌は抑制され、本来ならば副腎からのコルチゾール分泌も抑制されるはずです。

しかし、副腎が腫瘍化するとこの抑制が効かず、コルチゾールが分泌され続けます。

下垂体性よりもやや高齢の犬で発症する傾向があります。

日本では、シー・ズーでの報告が多いですが、特に好発犬種はおらず、どの犬でもなり得る病気だと考えておいた方が良いでしょう。

③医原性クッシング症候群

まれにですが、医原性のクッシング症候群が起こる場合もあります。

免疫や炎症を抑える目的で様々な病気の治療薬として使用されるステロイドは、副腎皮質から分泌されるコルチゾールを科学的に作り出した薬です。

そのため、ステロイド薬を高用量かつ長期間にわたり投与すると、副腎の機能を狂わせてしまい、クッシング症候群のような症状を発症することがあります。

ただし、ステロイド投与量の限界値は個体差がかなり大きいため、必ずしもクッシング症候群を発症するとは言えません。

ステロイドの投与に関しては、特に獣医師の指示を確実に守ることが重要です。

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犬のクッシング症候群の検査

クッシング症候群の検査は、血液検査、X線検査や超音波検査、尿検査などでクッシング症候群が疑われる場合に、ACTH刺激試験や低用量デキサメタゾン抑制試験を行い、診断します。

ACTH刺激試験は、1時間で結果が出るので手軽に行うことができますが、感度は低いという欠点があります。

低用量デキサメタゾン抑制試験は、結果が出るまでに8時間かかり、その間安静にストレスのない状態を保たなければならないという欠点がありますが、感度は高いです。

クッシング症候群と診断された場合は更に、画像診断や高用量デキサメタゾン抑制試験により、下垂体性か副腎腫瘍によるものかを診断します。

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犬のクッシング症候群の治療方法は薬・放射線・手術の3種類

犬のクッシング症候群の治療方法は、3つあります。

一般的には薬物療法を行いますが、下垂体や副腎の腫瘍が手術で取り除くことが可能である場合は、手術を行います。

手術は、一番完治の見込める方法ですが、難易度が高く、対応可能な病院も限られています。

また、手術や薬物療法と併用して、放射線療法もあります。

これは腫瘍部位に放射線を当てることで、腫瘍細胞を局所的に死滅させ、腫瘍を小さくする方法です。

これも、対応可能な病院は限られてきます。

一般的治療である薬物療法について、次に詳しく見ていきましょう。

治療薬

クッシング症候群では、副腎皮質からのコルチゾール分泌が亢進しているため、副腎でのホルモン合成を抑制する作用のある薬を投与することになります。

犬では、『アドレスタン』、『o,p’-DDD』、『ケトコナゾール』が使用されています。

『アドレスタン』はトリロスタンを有効成分とする製剤です。

作用機序は3β-ヒドロキシ脱水素酵素を可逆的に阻害することで、副腎ホルモンの生合成を阻害します。

副作用が少ないと言われていますが、高価な薬です。

『o,p’-DDD』は、副腎の中でも皮質を選択的に破壊させる作用があり、コルチゾール生合成を抑制させます。

真菌症の治療薬として使用される『ケトコナゾール』は、チトクロムP450という酵素を阻害することで、副腎ホルモンの生合成を阻害します。

参考:日本獣医学会-ケトコナゾ-ルとトリロスタン

治療費の相場

クッシング症候群で薬物療法を実施する場合、どの薬も高価で継続的に投与しなければならず、更に定期的な検査も必要となるため、治療には多額の費用がかかってしまいます。

治療薬は種類や病院にもよりますが、1錠1,000~1,500円程度です。

よって1か月の薬代は、小型犬は20,000円、中型犬で40,000円、大型犬で60,000円ほどはすると考えておきましょう。

更に薬の効果が現れているか確認するためにACTH刺激試験や超音波検査をしますので、その分の費用もかかってきます。

また、手術だと入院費用を含め200,000円、放射線治療だと1回の照射で100,000円、更に複数回繰り返すことになりますので、どの治療法も高額です。

治療しないとどうなる?

治療費が高額なため、治療を断念する飼い主さんもいます。

治療しないと、体内のコルチゾール値が高い状態が続き、一気に末期の状態へ進行する可能性があります。

治療をしない選択をした場合でも、食事に気を付けることで愛犬の状態を少しでも良く保つことは可能ですので、是非食事療法を検討してみてください。

クッシング症候群では、コルチゾールの分泌が亢進し高脂血症となっているため、低脂肪で、更に質のよい脂肪を摂取するようにしましょう。

また高血糖状態になりやすいため、血糖値を緩やかに上昇させる難消化性の玄米や大麦、イモ類などの穀物を適量与えるのが良いです。

更に、自分の筋肉を分解し糖を産生する代謝作用が盛んになっているため、良質なたんぱく質を摂取する必要があります。

そして免疫系も抑制されているため、乳酸菌などの腸内環境を整えるものを摂取することで免疫を上げることも重要となります。

療法食が販売されていますので、獣医師に相談の上、是非試してみてください。

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